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報道発表資料  2018年03月23日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会があっせん解決
求人募集広告により誘引された入力業務習得講座の解約トラブル

本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)から「求人広告に応募しスキル不足を理由に誘引された入力業務習得講座の解約に係る紛争」(平成29年7月6日付託)があっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

申立人

40歳代女性

相手方

業務提供誘引販売事業者【注】
【注】相手方は、入力業務をA社、講座提供業務をBスクールという名称にて運営していた。

契約内容

入力業務習得講座及び編集講座(支払済金額約54万円)

申立人の主張による紛争の概要

「在宅オペレーター募集」「月収5~20万円位可能」というA社求人募集広告を見て応募し、平成27年10月に面接とスキルチェックを受けたところ「実務スキル不足」とされ、A社に隣接するBスクールでの研修受講を勧められた。
担当者から、A社が提供する入力業務を習得する研修であり、受講するとA社から仕事が紹介され、月5万円くらいの収入が見込めると説明を受けたため、申立人は、仕事があるならば研修費用を支払っても元が取れると思い、Bスクールと入力業務習得講座受講契約(約34万円)を締結した。
受講中の平成28年1月と4月に、担当者に呼び出され、「仕事の幅が広がり報酬の単価が上がる」「編集の仕事の依頼が増えており、引き受けられる人を増やしたい」と説明され、追加で編集講座受講契約(計20万円)も締結した。
同年6月、入力業務習得講座修了試験に合格し、仕事の模擬訓練を受け、9月にA社と業務委託契約を結んだ。9月と10月に各1回仕事を受け、作業に約50時間かかったが、報酬は合計約7千円に過ぎなかった。3度目の依頼を断わったところ、その後3か月間、一度も仕事の依頼がなかった。
研修を受ければ仕事がもらえると説明され、高額な受講契約を結んだものの、収入になる仕事が提供されなかったので、A社とBスクールに対して解約返金を求めたが、応じてもらえなかった。

あっせん解決の内容

相手方が交付した書面は、特定商取引法の規定する記載事項を満たしておらず、申立人の解約申出によるクーリング・オフの成立が認められる。よって、相手方は、受講料全額(約54万円)を申立人へ返金するものとする。

消費者へのアドバイス 事前の高額な負担の要求には疑う目を!

「やる気があれば大丈夫」「かかった費用はすぐに回収できる」と勧誘されて高額な負担をしても、後になって「収入の保証などしていない」とトラブルになるケースは後を絶ちません。「求人」をうたって人を集めて、研修の受講料や教材費、登録料などの名目で、事前に高額な負担を要求する事業者との契約や支払いは避けてください。
契約をしてしまった場合は、ひとりで抱え込まず、消費生活センターへ相談しましょう。

主な審議内容

  1. 本件取引は、相手方が提供する役務(入力業務習得講座及び編集講座)で身に付けた技能(スキル)を利用する仕事があり、その仕事に従事することで収入(月収5~20万円)が得られると勧誘し、役務提供の対価(受講料)を負担する契約が締結されており、特定商取引法の業務提供誘引販売取引に該当する。
    また、相手方の提供する講座はパソコンのワープロ入力を教授するものであるので、同法の特定継続的役務提供(パソコン教室)にも該当する。
  2. 上記のどちらの取引類型も特定商取引法の規制を受けるが、本件においては、特定商取引法に定める書面記載事項がいくつも欠けており、法定書面の交付があったとは到底認められない。したがって、クーリング・オフ期間は進行せず、申立人の契約解除の意思表示により、クーリング・オフは成立している。
  3. 業務提供誘引販売取引におけるクーリング・オフが成立した場合でも、事業者が提供済みの役務の対価を請求できるとすれば、クーリング・オフによる救済は無意味と化すことから、特定商取引法の立法趣旨に照らして、相手方は役務を提供したか否かにかかわらず、申立人から受領した受講料等を全額返還すべきである。また、本件は、実施済み役務の対価を請求できないと明文で定めている特定継続的役務提供におけるクーリング・オフも適用される。
    よって、いずれにせよ、相手方は全額返金しなければならない。

東京都消費者被害救済委員会

設置の目的

東京都は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関として東京都消費者被害救済委員会を設置しています。

紛争処理の仕組み

消費者から、東京都消費生活総合センター等の相談機関に、事業者の事業活動によって消費生活上の被害を受けた旨の申出があり、その内容から都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争であると判断されたときは、知事は、委員会に解決のための処理を付託します。
委員会は、付託を受けた案件について、あっせんや調停等により紛争の具体的な解決を図り、個別の消費者の被害を救済するとともに、解決にあたっての考え方や判断を示します。

結果の活用

紛争を解決するにあたっての委員会の考え方や判断、処理内容等は、東京都消費生活条例に基づき、広く都民の方々や関係者にお知らせし、同種あるいは類似の紛争の解決や未然防止にご活用いただいております。

同種・類似被害の再発防止に向けて

1 事業者に対して

  1. 本件相手方には、数多く、法令に抵触する行為が認められた。
    事業者は、特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」や「特定継続的役務提供」の要件をよく確認し、事業を営むうえで遵守すべき内容をチェックしておくべきである。
  2. 消費者契約におけるトラブル防止の第一歩は適正な情報提供の確保にあることからすれば、本件のように、業務提供誘引販売取引や特定継続的役務提供の概要について記載された書面(いわゆる概要書面)及び法定事項の記載された契約書面の交付が欠けていることは、致命的である。
  3. これらの基本ルールを順守しないと、クーリング・オフ期間が起算しない結果として、いくら契約に基づく役務提供等の履行があったとしても、契約の清算にあたって当該履行の利益を主張できないというリスクがあることを認識しておく必要がある。

2 行政に対して

  1. 相手方は、商号や屋号が異なるが長年同様の事業を続けてきたという。それらの商号や屋号に係る苦情は今回委員会で確認できた範囲に限っても多数に上っていた。その多くは本件事案と共通しており、求人広告等において、収受し得るとされる業務提供利益や業務提供条件に関する不実告知がなされていたことに端を発している。同様の被害拡大防止のために、迅速かつ実効的な指導や処分を求めたい。
  2. 相手方が順守すべき法令の内容を認識しないまま、長年にわたって事業を営んできたことは、残念なことである。
    テレワークの仕事を提供・あっせんする業者が、適正な業務を営むことができるよう、順守すべき法令の内容を分かりやすく伝える工夫も必要である。

※別紙 求人広告に応募しスキル不足を理由に誘引された入力業務習得講座の解約に係る紛争案件(PDF:645KB)
※別紙 東京都消費者被害救済委員会委員名簿(PDF:147KB)
※困ったときにはまず相談を!!
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
電話 03-3235-4155

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