2018年03月28日
財務局
平成30年地価公示価格(東京都分)の概要
地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が標準地を選定し、毎年1月1日時点の調査を行い、価格を判定して、一般の土地の取引価格の指標等として公表するもので、昭和45年以降毎年実施している。平成30年の東京都分の地点数は2,602地点で、平成29年と同数である。用途区分ごとの地点数は、住宅地1,704地点、商業地850地点、工業地39地点、林地9地点となっている。
1 平成30年地価公示価格(東京都分)の動向
東京都全域でみた場合、住宅地、商業地、工業地とも対前年平均変動率(以下、「変動率」という)が5年連続でプラスとなった。また、住宅地、商業地、工業地の計(以下、「全用途」という)においても、変動率が5年連続でプラスとなった。
平成29年地価公示では、区部1,517地点、多摩地区662地点の計2,179地点で価格が上昇したが、平成30年公示では、前年との比較が可能な継続地点2,570地点のうち2,255地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が同1,570地点中1,569地点、多摩地区が同982地点中686地点、島部が同18地点中0地点で、用途別の内訳は、住宅地が同1,684地点中1,405地点、商業地が同839地点中814地点、工業地が同38地点中36地点、林地が同9地点中0地点である。
価格が下落した地点は104地点で、地区別の内訳は、区部が0地点、多摩地区が104地点、島部が0地点となっている。また、価格横ばい(前年から価格変動がない)の地点は211地点で、地区別の内訳は、区部が1地点、多摩地区が192地点、島部が18地点となっている。
(1) 住宅地
区部
- 区部全域の平均変動率は3.9%となった。5年連続のプラスで、昨年の3.0%から上昇した。全23区で変動率が5年連続のプラスとなった。
- 上昇率が最も高かったのは、6.1%の荒川区(前年3.9%)で、5.6%の北区(同3.5%)、5.5%の文京区(同4.1%)及び品川区(同3.5%)がこれに続いている。
- 上昇率が最も低かったのは、2.2%の中央区(前年6.2%)で、2.6%の大田区(同2.7%)、2.7%の葛飾区(同1.5%)がこれに続いている。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は0.8%となった。5年連続のプラスで、昨年の0.7%から上昇した。21市で変動率がプラスとなり、3市2町で0.0%、2市でマイナスとなった。
- 上昇率が最も高かったのは、3.1%の武蔵野市(前年3.3%)で、2.7%の三鷹市(同2.6%)、2.4%の国立市(同1.0%)がこれに続いている。
- 変動率が0.0%となったのは町田市(前年0.0%)、多摩市(同0.0%)、羽村市(同0.4%)、瑞穂町(同0.0%)及び日の出町(同0.0%)で、マイナスとなったのは-0.8%の青梅市(同-0.9%)及び-0.1%のあきる野市(同0.0%)だった。
(2) 商業地
区部
- 区部全域の平均変動率は6.4%となった。5年連続のプラスで、昨年の5.5%から上昇した。全23区で変動率が5年連続のプラスとなった。
- 上昇率が最も高かったのは、9.2%の渋谷区(前年8.7%)で、8.4%の中央区(同9.8%)、7.3%の台東区(同5.7%)がこれに続いている。
- 上昇率が最も低かったのは、3.2%の大田区(前年3.0%)で、4.2%の葛飾区(同2.6%)、4.4%の江戸川区(同2.8%)がこれに続いている。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は2.0%となった。5年連続のプラスで、昨年の1.9%から上昇した。24市2町で変動率がプラスとなり、2市で0.0%だった。
- 上昇率が最も高かったのは、5.5%の立川市(前年5.6%)及び武蔵野市(同5.3%)で、3.2%の調布市(同3.5%)がこれに続いている。
- 変動率が0.0%となったのは羽村市(前年1.1%)及びあきる野市(同0.0%)で、続いて上昇率が低かったのは、0.2%の青梅市(同0.1%)だった。
〔地区別・用途別対前年平均変動率〕 |
(単位:%)
|
住宅地 |
商業地 |
工業地 |
全用途【注】 |
平成30年 |
平成29年 |
平成30年 |
平成29年 |
平成30年 |
平成29年 |
平成30年 |
平成29年 |
区部 |
3.9 |
3.0 |
6.4 |
5.5 |
3.6 |
3.0 |
4.9 |
4.0 |
多摩地区 |
0.8 |
0.7 |
2.0 |
1.9 |
1.4 |
0.6 |
1.0 |
0.9 |
島部 |
0.0 |
-0.2 |
0.0 |
-0.2 |
- |
- |
0.0 |
-0.2 |
東京都全域 |
2.4 |
1.9 |
5.4 |
4.7 |
2.6 |
1.8 |
3.4 |
2.8 |
|
【注】林地を除く |
2 地価動向の背景
住宅地
- 都心部のマンション需要は底堅いが、一部の高額マンションでは高値警戒感などから鈍化傾向が見られている。雇用情勢の改善が続く中、低金利環境が継続していることもあり、実需層の住宅取得意欲も根強くなっている。
- 周辺区では、利便性や割安感から積極的な需要がみられ、前年より高い上昇率を示している。
- 多摩地区では、住宅地としてブランド力のある地域などで根強い需要がみられるものの、利便性に劣るバス便地域や傾斜地を造成した旧来の住宅地は人気が低く、需要が停滞している。
商業地
- 店舗を中心とした都心の高度商業地については、インバウンド需要は高位で推移しており、再開発による活性化や商業集積度の向上も功を奏している。物件の希少性に対して新規出店意欲は引き続き強く、店舗賃料は堅調に推移している。
- 都心部のオフィス空室率は低水準となっており、賃料は緩やかな上昇を続けている。
- 都心部を中心に建替えや再開発事業が進捗しており、地域の地価上昇の要因となっている。
投資等の動向
- J-REITなど投資市場は、低金利を背景とする良好な資金調達環境を背景に、物件取得意欲は極めて旺盛であるが、都心優良物件の供給は限定的となっている。投資対象の広がりとともに、市場参加者の裾野も広がっている。
※全文(財務局ホームページ)
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