事実関係 |
被処分者には、下記のとおり、宅地建物取引業法(以下「法」という。)違反があった。
記
- 被処分者は、不動産取引の媒介をするに当たり、貸借の借受け予定者であるAに対し、平成29年5月に185,000円を、同年6月に481,600円を、それぞれXに支払うよう指示し、合計666,600円を振り込ませた。その後、Aは、申込みの撤回を行ったにもかかわらず、既に振り込んだ666,600円の返還を得られなかった。
このことは、法第65条第1項第1号に該当する。
- 被処分者は、不動産取引の媒介をするに当たり、貸借の借り受け予定者であるAから、平成29年6月に300,000円を預かった。その後、Aは、申込みの撤回を行ったにもかかわらず、既に受領した300,000円を返還することを拒んだ。
このことは、法第47条の2第3項及び宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第16条の12第2号に違反し、法第65条第2項第2号に該当する。
- 被処分者は、平成29年6月下旬頃に、貸主であるBと借主であるAとの間で成立した、東京都文京区所在の建物の一室の賃貸借契約において、媒介業務を行った。
この業務において、次のような違反行為があった。
(1)法第35条第1項に定める書面(以下「重要事項説明書」という。)の説明を行っていない。
(2) 重要事項説明書において、契約の解除に関する定めがある旨記載されているにもかかわらず、その内容の記載がない。
(3)重要事項説明書において、宅地建物取引士の押印がない。
(4)法第37条第2項に定める書面において、宅地建物取引士の押印がない。
上記(1)は法第35条第1項に違反し、(2)は同項第8号に違反し、それぞれ法第65条第2項第2号に該当し、(3)は法第35条第5項に違反し、(4)は法第37条第3項に違反し、それぞれ法第65条第1項本文に該当する。
- 被処分者は、平成29年6月3日付けで、貸主であるCと借主であるDとの間で成立した、東京都文京区所在の建物の2階の賃貸借契約(以下「本契約」という。)において、媒介業務を行った。
この業務において、次のような違反行為があった。
(1)法第37条第2項に定める書面をCに交付していない。
(2)Dが本契約締結に際し、平成29年5月31日、被処分者に対して、7月分の賃料(105,000円)、敷金(210,000円)、礼金(105,000円)、保険会社へ支払う保険料(20,000円)及び保証会社へ支払う保証料(52,500円)として計492,500円を支払ったにもかかわらず、7月分の賃料、敷金、礼金の計420,000円についてはCに交付しなかった。また、保険料及び保証料については、それぞれ保険会社及び保証会社へ支払わず、保険契約及び保証契約が成立しなかったことから、当該保険料及び保証料をDに返金しなければならないにもかかわらず、同人に対する返金を行っていない。
上記(1)は法第37条第2項に違反することから、法第65条第2項第2号に該当し、(2)は法第65条第2項第5号に該当する。
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