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報道発表資料  2018年07月26日  教育庁 

平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告について

東京都教育委員会は、本年5月に「平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会」を設置して、平成30年度入学者選抜の検証を行う中で、これまでの入学者選抜方法の成果と課題を明らかにするとともに、平成31年度入学者選抜以降の改善策等について検討してきました。
この度、別添のとおり「平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」を取りまとめたので、お知らせします。
なお、報告書の概要及び東京都教育委員会の今後の取組は、以下のとおりです。

1 報告書の概要

項目 概要
(1)推薦に基づく選抜の改善
  • 高等学校においては、平成25年度入学者選抜に改善を図って以降、集団討論、小論文、作文等、各検査のテーマの設定や評価方法・評価基準の設定について検証を重ね、自校の特色に合致した受検者を選抜することができるように改善が図られてきている。
    また、思考力、判断力、表現力等や、学力検査ではみることのできない受検者の多様な能力を一層評価することができるように、各検査のテーマや課題、検査時間や集団討論の実施人数等、実施方法や内容についての更なる工夫と改善を図る必要がある。
  • 文化・スポーツ等特別推薦は、各高等学校の個性化・特色化に大きく寄与していることや学校の教育活動を活性化させるために効果的であるとともに、生徒の優れた能力や意欲等を評価する制度であることから、引き続き実施する。今後とも文化・スポーツ等特別推薦により入学した生徒に対する追跡調査を行い、検査方法等が自校の求める生徒を選抜するための方法として適切かについて検証する必要がある。
(2)学力検査に基づく選抜の改善

<分割募集>

  • 分割募集は、受検の機会を複数回提供できるだけではなく、異なる尺度により、受検者の様々な力を評価することで、多様な生徒を入学させることができることから、継続的に実施する。
  • 平成30年度入学者選抜では、分割前期募集の受検倍率が高く、多くの不合格者を出していながら結果的に第三次募集まで実施する高等学校もあったことから、各学校を取り巻く状況等を十分検証した上で、真に必要な場合には、分割募集における前期・後期の定員の割合を見直すなど、平成31年度入学者選抜に向けて課題を整理し、改善を図る。

<外国籍の受検者等に対する特別措置>

  • 外国籍の生徒で入学日現在入国後3年以内の者を対象に学力検査問題の共通問題にひらがなのルビを振る措置を行っているが、外国籍の生徒の中には、日本語に十分習熟しておらず措置が必要でありながら、入学日現在の在日期間が3年を超えるために措置を申請できない生徒がいる。また、東京都では外国籍の生徒とともに、日本語指導が必要な日本国籍の生徒も増えている状況があることから、日本語指導が必要な日本国籍の生徒についても本措置の対象の拡大を図るべきである。今後の措置申請の条件としては、入国後の在日期間が入学日現在原則として6年以内の者で、中学校在学期間中に日本語指導を受けている者あるいは日本語が未習熟のため中学校において配慮を受けている者とすることが望ましい。
  • 平成30年度入学者選抜から実施した、東京都教育委員会による外国籍の生徒の事前応募資格確認について、都教育委員会ホームページや関係する都立高等学校において実施時期等の周知を十分行うとともに、より充実した内容で実施できるよう、関係する高等学校の教職員の参加や実施回数を増やすなどの改善を図る。
(3)再発防止・改善策に基づく採点・点検の取組

<マークシート方式の全校導入による採点誤りの再発防止>

  • マークシート方式は、効率的な採点や採点誤りの防止という観点からは、一定の成果が出ている。また、他校同士の相互点検は、合否の入れ替わりを防ぐとともに、採点・点検の適正な実施を客観的に確認するために有効であることから、引き続き実施する。
  • 採点誤りの8割近くを国語が占めており、誤りの原因としては漢字やひらがなの誤字の見逃しによるところがほとんどである。誤字・脱字に関する採点誤りを防止する対策を立て、各高等学校に周知する必要がある。
(4)その他の制度

<本人得点の開示及び学力検査における答案の開示>

  • 開示請求の受付開始時期を合格者と不合格者で分けたことにより、年度末における開示に関する事務の混乱を避けるとともに、高等学校における新入生受入準備等の他業務への影響を抑えることに一定の成果があった。今後は、開示請求件数の動向を検証するとともに、合格者に対する答案の開示の必要性など、導入の趣旨に立ち返って、本開示請求の制度の在り方について引き続き検討する。

<インフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査>

  • インフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査は、インフルエンザ等に罹患した受検者等の受検機会を確保することに一定の成果があったことから、引き続き実施する。今後、第一次募集において応募倍率が1倍を下回った場合などに追検査を実施する必要があるかどうかについて検討する必要がある。

<英語スピーキングテスト結果の活用>

  • 英語スピーキングテストの導入に当たり、実施時期については中学校における学校行事等を十分に考慮して、できるだけ早く日程を周知する必要がある。また、過年度生や海外帰国生も含めて都外からの都立高等学校入学者選抜の受検者、やむを得ずスピーキングテストを欠席した生徒への対応等、様々な点で配慮することが必要である。さらに、スピーキングテストの評価の出し方や結果の具体的な活用方法等に関する検討の必要があることから、今後、入学者選抜検討委員会特別部会を設置し、検討を行う。

<東京都立高等学校入学者選抜の応募資格の一部変更>

  • 各々の家庭の生活事情が多様化しており、両親とともに都内に転入することが難しい場合があることから、平成30年度入学者選抜から、介護や病気療養等特別の事情により一方の父母のどちらか一方が都内に転居できない場合に限り、応募資格を認めることとした。応募資格の一部変更に一定の成果はあったものの、応募資格審査で特別の事情を厳密に判定できるかにより、都内中学生の進学先の確保に影響する可能性があることから、応募資格審査の審査基準については適正な運用を維持しつつ、仮に「特別な事情」の範囲を広げた場合にどのような影響が考えられるか等について十分な検証を加えながら、今後も検討する必要がある。

2 東京都教育委員会の今後の取組

上記の報告を踏まえ、本年9月に、平成31年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目で詳細を定める。平成31年度入学者選抜では、これまで外国籍の受検者を対象として実施してきた学力検査問題の共通問題でひらがなのルビを振る措置の対象を拡大し、国籍を問わず、入国後の在日期間が入学日現在原則として6年以内の者で、中学校在学期間中に日本語指導を受けている者あるいは日本語が未習熟のため中学校において配慮を受けている者とする。
また、インフルエンザ等学校感染症罹患者等に対する追検査、本人得点及び学力検査における答案の合格者と不合格者とに分けた開示時期の設定、東京都教育委員会による在京外国人生徒を対象とした事前応募資格確認の実施などを継続するとともに、中学校、高等学校及び関係機関に対する周知を徹底する。
あわせて、中学生や保護者に対しても、改善の趣旨や変更点について、十分な周知を行っていく。

別添 平成31年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書(PDF:1,792KB)

問い合わせ先
教育庁都立学校教育部高等学校教育課
電話 03-5320-6745
ファクス 03-5388-1727
メール S9000011(at)section.metro.tokyo.jp
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