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2018年08月20日 生活文化局
都内の消費生活センターにはオーディションに関連したタレント養成講座・タレント所属契約に関する相談が毎年多数寄せられており、平成29年度に急増していることから(後掲グラフ参照)、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に「アーティスト等育成所属契約に係る紛争」2件の処理を付託していました。
本日、同委員会よりあっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
本件は、新人発掘オーディションというサイトを見て応募した消費者2名が、「グランプリは無理だが、いいものがある」などと告げられ、50万円を超えるアーティスト等育成所属契約【注】を勧誘され締結したという事案です。ともにサービス提供前に契約の解除を申し出ましたが、事業者が無条件での解約には応じないとして紛争になりました。
(【注】育成所属契約:レッスン等の育成指導及び事業者らの事務所に所属する契約が一体となったもの)
委員会では、消費者2名が支払いのために利用しようとしていた個別クレジット契約が成立しておらず、個別クレジット契約が不成立となった場合は育成所属契約も不成立とする旨の規定があることなどから、育成所属契約は不成立又は無効であると判断しました。その結果、消費者2名は、申込費用やレッスン受講料の一切を支払う必要はないとする合意が事業者との間に成立しました。
特定商取引法で定める特定継続的役務提供の対象として「タレント養成講座」を加えるなど、被害を効果的に防止する手立てを講じるよう国に要望します。
また、業界団体へ報告書を送付し、同種被害の未然防止の参考にしていただきます。
本件紛争解決にあたっての委員会の考え方を消費生活相談の現場などで活用していただけるよう、積極的に情報提供していきます。
東京くらしWEBで「消費者注意情報」を発信するほか、Twitter、Facebookなども活用して、注意喚起を行っていきます。
参考 過去のモデル・タレントの契約等に関する注意喚起情報はこちら
「オーディション合格と言われ高額なレッスン契約をしてしまった! タレント・モデル契約のトラブルが増えています(平成30年5月31日)」
東京都消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
甲社及び乙社は、その他複数社も含めたグループ会社であり、乙社チーフマネージャーが甲社についても委任を受けて、甲社及び乙社の説明を行うとの申出があったため、両紛争の審議を同時に進めた。
申立人Aと甲社間及び申立人Bと乙社間のアーティスト等育成所属契約は、「立替払契約不成立時は、役務提供契約も立替払契約の申込時に遡って不成立になる」との個別クレジット契約の規定から不成立ないし無効と解される。
仮に、契約が有効に成立したとしても、甲社、乙社の勧誘方法は特定商取引法に定めるアポイントメントセールスに該当し、契約書面に法で記載が義務付けられているクーリング・オフに関する事項の記載がないことから、クーリング・オフの期間は進行していなかった。したがって、申立人らはクーリング・オフができ、すでに、契約解除の意思を事業者に書面で通知しているので、契約は役務提供前に解除されている。
よって、申立人Aは甲社に、申立人Bは乙社に何らの債務を負うものではない。
また、甲社及び乙社は、関連するグループ会社を含め、保有する申立人らの写真や画像、収録音源等の個人情報の利用を停止し、合意書締結後10日以内に消去する。
申立人Aの個別クレジット契約は審査で否決され、申立人Bは個別クレジットの申込みをしなかったので、個別クレジット契約の規定により、申立人らの育成所属契約は不成立ないし無効と解される。
なお、本件育成所属契約には、信販会社での審査等で否決になった場合、自動的に自社割賦になる旨の特約があったが、申立人らに自社割賦払いに関する明細が渡されておらず、分割手数料の具体的金額の合意はないため、自社割賦を利用した育成所属契約は不成立ないし無効と解さざるを得ない。
本件では、オーディションという方法をとって「育成所属契約」を締結する可能性のある者を、目的を告げずに募集し、選別のうえ、来訪要請し、契約していた。したがって、申立人らの勧誘方法はアポイントメントセールスに該当する。
また、育成所属契約の先に、報酬が支払われる専属アーティスト・タレント契約に移行できる可能性があると説明していることは、将来的な芸能活動という業務を提供(またはあっせん)するとして誘引された取引(特定商取引法では「業務提供誘引販売取引」という。)に該当する余地がある。
特定商取引法で契約書に記載すべき事項が定められている取引であるにもかかわらず、本件契約書にクーリング・オフに関する記載が見当たらないことから、申立人らは、事業者が改めて法により義務付けられた書面を交付するまでいつまでもクーリング・オフ権を行使できる。
契約金額の75%を占める申込費用約40万円について、中途解約時に消費者が全額負担するとの契約条項は、解約違約金として「平均的な損害の額」を超え、消費者契約法9条1項の不当な契約条項に該当する。契約書の「重要事項説明」で、消費者に「理解できた」として「○」をつけさせていても、不当な契約条項が有効になるものではない。
クレジット契約が通らなかったとき「自動的に」自社割賦となるような特約を設けないよう、販売店に求めるべきである。また、販売店と消費者との契約内容を十分把握するように努め、販売店の営業内容を正確に知るよう調査を尽くすべきである。
※平成30年度は6月末日現在の登録数 |
困ったときにはまず相談を!!
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
※別紙 「甲社とのアーティスト等育成所属契約に係る紛争案件」「乙社とのアーティスト等育成所属契約に係る紛争案件」報告書(PDF:802KB)
詳しくは「東京くらしWEB」をご覧ください。
問い合わせ先 東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03-3235-4155 |
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