2018年09月19日
財務局
平成30年 東京都基準地価格の概要
国土利用計画法に基づく平成30年7月1日時点の東京都の基準地価格については、都内1,268地点の選定基準地の調査を行い、各地点の価格を平成30年9月19日付告示で公表する。
用途区分ごとの地点数は、住宅地769地点、商業地468地点、工業地14地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
地区の分類及び地点数の配分は、次の内訳のとおりである。
[区部]
- 都心5区
千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 (5区:162地点)
- その他区
文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区 (18区:550地点)
[多摩地区]
- 北多摩地区
立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、西東京市 (17市:248地点)
- 南多摩地区
八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市 (5市:203地点)
- 西多摩地区
青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町 (4市3町1村:77地点)
[島部]
- 大島町、新島村、神津島村、三宅村、八丈町、小笠原村 (2町4村:28地点)
1 平成30年基準地価格の動向
(1)全域的な動向
東京都全域でみた場合、住宅地、商業地、工業地で対前年平均変動率(以下、地点ごとの対前年変動率を「変動率」といい、地区・用途等の区分ごとに算出した対前年平均変動率を「平均変動率」という)が6年連続でプラスとなった。また、住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計(以下、「全用途」という)においても、平均変動率が6年連続でプラスとなった。
平成29年調査では、区部694地点、多摩地区331地点の計1,025地点で価格が上昇したが、平成30年調査では、1,022地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が694地点中694地点、多摩地区が519地点中328地点で、用途別の内訳は、住宅地が751地点中580地点、商業地が460点中429地点、工業地が13地点中13地点である。(本年選定替した地点を各母数から除く)
また、前年から価格変動がない(価格横ばい)の地点は、平成29年は159地点(区部0地点、多摩地区132地点、島部27地点)だったが、平成30年は160地点(区部0地点、多摩地区132地点、島部28地点)となった。
(2)住宅地の動向
住宅地の特徴的傾向をみると、区部では、利便性が高く、相対的に価格水準が低い地域を中心に、変動率の高い地点が現れている。
一方、多摩地区では、良質な住環境が形成された区部近郊の鉄道沿線地域や、商業施設の集積等により利便性が向上した地域などにおいて、戸建住宅画地を中心に、変動率の高い地点が現れている。
〔区部〕
- 区部全域の平均変動率は4.3%となった。平成29年調査の3.3%に比べ上昇幅が拡大した。
- 全23区で平均変動率がプラスとなった。平均変動率が最も高かったのは荒川区の8.7%(前年5.3%)で、北区の7.2%、文京区の6.9%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区4.4%、その他区4.3%で、ともに平成29年調査と比較して上昇幅が拡大した。
〔多摩地区〕
- 多摩地区全域の平均変動率は0.8%となった。平成29年調査の0.7%からに比べ上昇幅が拡大した。23市で平均変動率が前年に引き続きプラスとなり、1町でマイナスからプラスに転じた。1市では平均変動率が前年0.0%(変動なし)からマイナスに転じた。2市2町1村では、平均変動率が前年に引き続きマイナスとなった。そのうち1市1村で前年と同じ下落幅となり、もう1市で下落幅が拡大し、2町では縮小している。
- 平均変動率が最も高かったのは武蔵野市の3.4%(前年3.8%)で、小金井市の2.8%、三鷹市の2.5%がこれに続いている。
- 平均変動率がマイナスだったのは、青梅市-1.2%(同-0.7%)、多摩市-0.1%(同0.0%)あきる野市-0.1%(同-0.1%)、日の出町-0.2%(同-0.3%)、奥多摩町-1.1%(同-1.6%)、檜原村-1.1%(同-1.1%)だった。
(3)商業地の動向
商業地の特徴的傾向をみると、区部では、再開発や外国人の来訪が顕著な地域の商業地、多摩地区では、地域の中核的位置づけをもつターミナル駅に近接し、繁華で利便性の良い商業地を中心に変動率が高い地点が現れている。
〔区部〕
- 区部全域の平均変動率は7.2%となった。平成29年調査の5.9%に比べ上昇幅が拡大した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは中央区の9.9%(前年8.0%)で、北区の9.2%、渋谷区の9.1%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区8.1%、その他区6.8%で、都心5区、その他区ともに、平成29年調査と比較して上昇幅が拡大した。
〔多摩地区〕
- 多摩地区全域の平均変動率は2.0%となった。平成29年調査の1.8%に比べ上昇幅が拡大した。23市1町で平均変動率が前年に引き続きプラスとなり、1市で前年0.0%(変動なし)からプラスに転じた。1市で平均変動率が前年に引き続き0.0%(変動なし)となった。前年プラスだった1市が0.0%(変動なし)に転じた。1町1村では平均変動率が前年に引き続きマイナスとなり、どちらも下落幅は縮小した。
- 平均変動率が最も高かったのは武蔵野市の6.0%(前年5.8%)で、立川市及び三鷹市の4.6%がこれに続いている。
- 平均変動率が0.0%(変動なし)となったのは、青梅市(前年0.2%)、あきる野市(同0.0%)だった。
- 平均変動率がマイナスとなったのは、奥多摩町-0.7%(前年-1.1%)、檜原村-0.8%(同-1.6%)だった。
(4)工業地の動向
インターネット通販の普及等による物流施設への需要などから、工業地の地価は堅調に推移している。
- 区部の平均変動率は4.3%(前年4.0%)で、前年に比べ上昇幅が拡大したが、多摩地区の平均変動率は3.3%(同3.6%)で、上昇幅が縮小した。全13地点(区部7地点、多摩地区6地点)で地価が上昇した。最も変動率が高かったのは青梅9-2の7.0%で、用途は工場兼事務所である。
(5)地価の半年単位の動向
- 地価公示の標準地と同一地点である基準地208地点のうち、前半期(平成29年7月1日~平成30年1月1日)・後半期(平成30年1月1日~平成30年7月1日)で比較可能な206地点の変動率をみた場合、年間変動率でマイナスとなった地点は、多摩地区の住宅地において2地点あった。そのうち前半期・後半期ともにマイナスとなった地点は1地点だった。
年間変動率でプラスとなった地点では、区部住宅地、区部商業地では、後半期の変動率が高い地点(前半0.0%から後半プラスとなった地点を含む)の数が、前半期の変動率が高い地点(前半プラスから後半0.0%となった地点を含む)の数を上回っている。多摩地区住宅地、多摩地区商業地は、前半期の変動率が高い地点(同前)の数が、後半期の変動率が高い地点(同前)の数を上回った。
2 地価動向の背景
(1)経済の動向(全国)
- 内閣府が公表している「月例経済報告」によると、平成29年8月から平成30年7月までの経済動向では、平成30年1月に、「緩やかな回復基調が続いている」という前月までの判断から、「緩やかに回復している」との上方判断が示された。同月は個人消費についても、「緩やかに持ち直している」から、「持ち直している」との上方判断が示されたほか、雇用情勢も「改善している」から「着実に改善している」との上方判断が示された。また、消費者物価は、平成30年3月に、「横ばいとなっている」という前月までの判断から、「このところ緩やかに上昇している」との上方判断が示された。
(2)土地所有権移転の動向(東京都)
- 法務省が公表している「登記統計」によると、平成29年の東京都における売買による土地所有権移転登記件数は140,156件で、前年の136,993件と比較して+3,163件(+2.3%)となっている。平成30年5月の売買による土地所有権移転登記件数は12,299件で、前年同月の12,158件と比較して+141件(+1.2%)となり、5か月ぶりに前年同月を上回っている。
(3)住宅市場の動向(東京都)
- 東京都が公表している「住宅着工統計」によると、平成29年度(平成29年4月~平成30年3月)の東京都における新設住宅着工戸数は141,935戸で、前年度の153,621戸と比較して-11,686戸(-7.6%)となっている。主な内訳をみると、持家は-6.2%で4年連続の減、貸家が-5.2%で3年ぶりの減、分譲住宅が-11.2%で2年ぶりの減となっている。地域別でみると、都心3区(千代田区、中央区、港区)が-40.6%で2年ぶりの減、区部全域が-8.7%で2年ぶりの減、多摩地区市部が-3.6%で2年連続の減となっている。
- 国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)」によると、平成22年を100とした平成30年4月の東京都の不動産価格指数(住宅)は、住宅総合128.6(前年同月比+8.5%)、住宅地120.8(同+9.1%)、戸建住宅115.3(同+14.3%)、マンション140.2(同+3.5%)で、住宅総合は3か月連続、住宅地は2か月連続、戸建住宅は4か月連続、マンションは61か月連続で前年同月を上回っている。
- 国土交通省が公表している「不動産価格指数(商業用不動産)」によると、平成22年を100とした平成29年の東京都の不動産価格指数(商業用不動産)は、商業用不動産総合141.6(対前年比+6.4%)で、5年連続で前年を上回っている。
- 国土交通省が公表している「不動産市場動向マンスリーレポート」(以下、「マンスリーレポート」という)によると、平成29年7月から平成30年6月までの東京都区部の新築マンションの供給戸数は16,164戸で、平成28年7月から平成29年6月までの15,123戸と比較して+1,041戸(+6.9%)となっている。平成30年6月の供給戸数は1,429戸で、2か月連続で前年同月を上回っている。初月契約率をみると、平成29年7月から平成30年6月までの期間で、好不調の目安とされる70%を上回った月数は7月、下回った月数は5月となっている。平成30年6月は、3か月ぶりに70%を上回っている。6月の平方メートル当たり単価は118.7万円/平方メートル(前年同月比+11.4%)で、5か月連続で前年同月を上回っている。
- マンスリーレポートによると、平成29年7月から平成30年6月までの東京都の中古マンションの新規登録件数は115,575件で、平成28年7月から平成29年6月までの112,679件と比較して+2,896件(+2.6%)となっている。平成30年6月の新規登録件数は10,025件(前年同月比+8.8%)で、8か月連続で前年同月を上回り、成約平均平方メートル単価は69.00万円/平方メートル(同+6.1%)で、66か月連続で前年同月を上回っている。
(4)オフィス市場の動向(東京都・都心5区)
- マンスリーレポートによると、平成29年7月から平成30年6月までの都心5区の大型ビル(基準階面積100坪以上)空室率は、平成30年2月までは3%台前半で推移したが、平成30年3月以降は2%台後半で推移している。平成27年7月以降、需給緩和局面の目安とされる5%を36か月連続で下回っている。平成30年6月の坪当たりの平均募集賃料は20,108円/坪(前年同月比+6.59%)で、50か月連続で前年同月を上回っている。
(5)不動産投資市場の動向(全国及び東京都)
- 国土交通省が公表している「平成29年度不動産証券化の実態調査」によると、平成29年度中に不動産証券化の対象として取得された不動産又は信託受益権の資産額は、約4.8兆円で、前年度と同程度であった。取得件数は1,093件で、前年度の1,004件と比較して+89件(前年度比+8.9%)となってる。取得された1,093件のうち対象地が東京都に所在する件数は436件(全件数の約39.9%)で、前年度の382件と比較して+54件(前年度比+14.1%)となり、2年連続で前年度を上回っている。
(6)国内銀行の貸出動向(全国)
- 日本銀行が公表している「貸出先別貸出金」によると、平成30年6月期の不動産業向け貸出金残高は77兆322億円で、前年同期の73兆693億円と比較して+3兆9,629億円(+5.4%)となり、25四半期連続して前年同期を上回っている。
(7)人口の動向(東京都)
- 住民基本台帳に基づく東京都の統計によると、平成30年1月1日現在の東京都の総人口は、平成29年1月1日と比較して約10万7千人の増となっている。区部、多摩地区市部、多摩地区町村部及び島部の地区別でみると、区部と多摩地区市部で人口が増加し、増減率は、区部+1.01%、多摩地区市部+0.34%、多摩地区町村部-0.54%、島部-0.98%となっている。
- 同様に平成30年1月1日現在の生産年齢人口(15~64歳)は、平成29年1月1日現在と比較して約6万3千人の増となっている。うち日本人は約3万2千人の増で3年連続の増となった。地区別では、区部のみ増で、それ以外の地区では減となっている。増減率は、区部+1.03%、多摩地区市部-0.01%、多摩地区町村部-1.58%、島部-1.85%となっている。平成30年1月1日現在の人口総計に占める生産年齢人口の割合は、東京都全体でみた場合65.73%、地区別にみた場合は、区部67.05%、多摩地区市部62.94%、多摩地区町村部55.78%、島部53.47%で、区部を除いて、それぞれ平成29年1月1日現在の割合から微減となっている。
〔地区別・用途別対前年平均変動率〕(単位:%) |
項目
地区
|
住宅地 |
商業地 |
工業地 |
全用途【注】 |
30年 |
29年 |
30年 |
29年 |
30年 |
29年 |
30年 |
29年 |
区部 |
4.3 |
3.3 |
7.2 |
5.9 |
4.3 |
4.0 |
5.8 |
4.6 |
多摩地区 |
0.8 |
0.7 |
2.0 |
1.8 |
3.3 |
3.6 |
1.0 |
0.9 |
島部 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
- |
0.0 |
0.0 |
東京都全域 |
2.4 |
1.8 |
5.9 |
4.9 |
3.8 |
3.9 |
3.7 |
3.0 |
|
【注】林地を除く
|
※全文(財務局ホームページ)
問い合わせ先
財務局財産運用部管理課
電話 03-5388-2736 |