2018年10月12日
人事委員会
平成30年人事委員会勧告等の概要
1 ポイント
初任給、特別給を引上げ
初任給
- 有為な人材を確保する観点から、初任給を1,000円引上げ
特別給(賞与)
- 年間支給月数を0.10月分(4.50月→4.60月)引上げ、勤勉手当に配分
制度改正
2 職員と民間従業員の給与比較
(1) 比較の方法
- 企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内11,052事業所を調査母集団とし、そのうち1,262事業所を無作為抽出して実地調査
(調査完了982事業所 調査実人員64,403人)
<例月給>
職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較
<特別給>
民間従業員に対する直近1年間の賞与の支給実績を調査し、職員と比較
(2) 比較の結果
<例月給>
(平均年齢 40.7歳)
民間従業員 |
職員 |
公民較差 |
401,083円 |
400,975円 |
108円(0.03%) |
|
(注)職員給与は、本年4月の行政職給料表(一)適用者(新卒採用職員を除く。)の給与
<特別給>
民間支給割合 |
職員支給月数 |
差 |
4.61月 |
4.50月 |
0.11月 |
3 給与の改定
(1) 改定の考え方
- 本年の公民較差はかなり僅少であり、給料表や諸手当において適切な配分を行うことは困難であるが、有為な人材確保の観点から初任給を引上げ
- 初任給引上げのため、給料表の初任層を較差の範囲内で引上げ改定
- 特別給については、民間の支給割合が職員の年間支給月数を上回るため引上げ
(2) 改定の内容
ア 初任給
- 行政職給料表(一)における1類B、2類及び3類の初任給を1,000円引上げ
イ 特別給
- 民間の支給状況を踏まえ、年間支給月数を0.10月分引上げ
(指定職給料表適用者等は0.05月分)
- 引上げは勤勉手当で実施
(3) 実施時期
- 初任給の改定は、平成31年4月1日から実施
- 特別給の引上げは、平成30年12月支給の期末・勤勉手当から実施
4 制度改正
(1) 公安職給料表の見直し
- 職務の級を区分する意義・必要性が乏しくなっている状況にあることから、公安職給料表の1級と2級を統合し、級構成を9級制から8級制に改正
(2) 実施時期
5 今後の課題
- 高齢層職員の給与
定年引上げに係る国における法改正等の動向を注視しながら、都のこれまでの取組や実情を十分に考慮して、都における給与水準等について検討
- 職務給の更なる進展等
引き続き行政職給料表(一)1級・2級について、上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の視点から、適切な対応を検討
- 能力・業績を反映した給与制度の更なる進展
6 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)
(1) 人材の確保と活用
ア 採用・昇任制度の検証
- 高度化・複雑化する都政課題に的確に対応できる人材を確保するため、採用試験の検証・分析を行い、採用を取り巻く環境に即した見直しを進めることが重要
- 民間人材の活用の観点から民間経験等を有する職員のキャリア形成・あるべき任用制度についての検討が必要。民間等との人事交流の拡大も引き続き推進すべき
- 主任級職選考を取り巻く環境の変化を踏まえ、選考結果等の検証を進めるとともに、その在り方について任命権者と検討
- 行政専門職選考種別Bのポスト拡大に向けた取組の推進や、管理職選考種別Bにおける統括課長代理の昇任意欲の喚起や女性職員の受験促進に向けた検討が必要
イ 多様な人材の活躍推進
- 定年引上げに関しては、国の制度設計等の動向を注視しつつ、人事制度全体への影響にも留意しながら、都の実情に合った制度の検討を進めることが必要
- 障害に対する職員の理解や受入環境の整備を進めるとともに、障害に応じた配慮やサポート体制の強化が必要。常勤職員としての採用を含め、知的障害者の雇用拡大に向けた検討も必要
- 会計年度任用職員制度の導入に向けて、現行制度の実態を踏まえた職の在り方、勤務条件及び報酬・期末手当の給付等について検討することが重要
(2) 働き方改革と職員の勤務環境の整備
ア ライフ・ワーク・バランスの推進
- 長時間労働の是正には、職員の意識改革や管理職によるマネジメントの強化、組織のトップによる抜本的な業務改革などの取組を継続して進めていくことが必要
- 議会対応業務に関しては、引き続き都議会の理解と協力の下、現在の慣行等について検証し、見直しを進めることが重要
- 教員については「学校における働き方改革推進プラン」等に基づく取組を早急かつ着実に実行し、継続的に学校における働き方改革を推進することが重要
- フレックスタイム制やテレワークの利用促進に向け環境整備を進めることが必要
- 女性職員のキャリア形成の促進に向けたきめ細かな支援、男性職員の育児休業の取得率向上、計画的な休暇取得の促進などに取り組み、仕事と生活の両立支援・女性の活躍促進等を進めることが重要
イ 職員の勤務環境の整備
- パワー・ハラスメントへの対策やいわゆるLGBTなどの性的マイノリティに対するハラスメントについて意識啓発等を進めることが必要
- 勤務間インターバル制度について試行の検証を進めるとともに、医師の面接指導については民間労働法制の改正等を踏まえた対応を検討していくことが必要
- メンタルヘルス対策は、ストレスチェックをはじめとした取組を継続して計画的に実施することが必要
(3) 公務員倫理の徹底
- 都民の信頼を回復するため、事件・事故の再発防止に取り組むとともに、コンプライアンスの取組を着実に推進し、都政におけるガバナンスの実効性を一層高めていくことが重要
- 全ての職員が法令遵守義務を銘記し、自らの職務が都民の負託を受けた公務であることを常に認識し、高い使命感と倫理観を持って職務を遂行することを強く求める
※「1類」「2類」「3類」の数字の正しい表記はローマ数字です。
問い合わせ先
人事委員会事務局任用公平部任用給与課
電話 03-5320-6941
電話 03-5320-6942
電話 03-5320-6943 |