2019年10月16日
東京都人事委員会
令和元年人事委員会勧告等の概要
1 ポイント
例月給は改定見送り、特別給は6年連続の引上げ
例月給
- 公民較差(47円、0.01%)は極めて小さいため、改定を見送り
特別給(賞与)
- 年間支給月数を0.05月分(4.60月→4.65月)引上げ、勤勉手当に配分
2 職員と民間従業員の給与比較
(1) 比較の方法
- 企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内11,235事業所を調査母集団とし、そのうち1,282事業所を無作為抽出して実地調査
(調査完了940事業所 調査実人員62,472人)
<例月給>
職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較
<特別給>
民間従業員に対する直近1年間の賞与の支給実績を調査し、職員と比較
(2) 比較の結果
<例月給>
(平均年齢 40.8歳) |
民間従業員 |
職員 |
公民較差 |
401,211円 |
401,164円 |
47円(0.01%) |
|
(注)職員給与は、本年4月の行政職給料表(一)適用者(新卒採用職員を除く。)の給与
<特別給>
民間支給割合 |
職員支給月数 |
差 |
4.63月 |
4.60月 |
0.03月 |
3 給与の改定
(1) 改定の考え方
- 本年の公民較差は現行の給料表の最低単位(100円)に満たない極めて小さいものであり、職員の給与が民間従業員の給与を下回っているものの、公民の給与はほぼ均衡している状況にあることから、例月給は改定を見送り
- 特別給については、民間の支給割合が職員の年間支給月数を上回るため引上げ
(2) 改定の内容
特別給
- 民間の支給状況を踏まえ、年間支給月数を0.05月分引上げ
- 引上げは勤勉手当で実施
(3) 実施時期
令和元年12月支給の期末・勤勉手当から実施
4 今後の課題
- 高齢層職員の給与
- 定年引上げに係る国における法改正等の動向を注視しつつ、都のこれまでの取組や実情を十分に考慮して、都における給与水準等について検討
- 職務給の更なる進展等
- 行政職給料表(一)1級・2級について、上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の視点から、引き続き適切な対応を検討
- 能力・業績を反映した給与制度の更なる進展
5 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)
(1) 人材の確保と活用
ア 人材確保・活用に向けた取組
- 東京2020大会後の職員構成の変化を踏まえ、中長期的な視点をもって採用から退職に至るまでの人事制度全般について検証し、見直しを進めていくことが必要
- 採用環境の変化に適切に対応し、有為な人材を確保するためには、技術系をはじめとした人材確保策の強化、受験可能年齢の見直し、試験の実施方法等の見直し、AI等を活用できるIT人材の確保等の取組を実施していくことが必要
- 主任級職選考について受験者層の状況変化を踏まえるとともに、東京2020大会後の職員構成等も見据え、その在り方について検討が必要
- 女性の活躍促進に向けて、行政専門職の更なる拡充など複線型任用体系の一層の強化を図るとともに、個々のライフイベントに合わせて受験しやすい昇任選考の在り方等について検討が必要
イ 多様な人材の活躍推進
- 定年引上げに関しては、役職定年制や定年前の再任用短時間勤務制等の在り方など、都の実情に合った制度の検討を進めることが必要
- 障害者雇用については、法改正を踏まえ、職場のサポート体制の強化が必要。新たな常勤職の設置に向け、職種などの人事制度について検討を進めることが必要
- 会計年度任用職員制度への円滑な移行を図るため、任用根拠を適切に整理するとともに、任用手続や報酬等の支給方法などの制度運用について十分な検討が必要
(2) 働き方改革と職員の勤務環境の整備
ア ライフ・ワーク・バランスの推進
- 長時間労働の是正には、組織全体での抜本的な業務の効率化や見直しの継続的実施、管理職のマネジメントが重要。管理職自身の超過勤務を縮減することも肝要
- 勤務間インターバル及び連続勤務の禁止について、実施状況を検証し必要な措置を検討すべき
- 議会対応業務に関しては、現在の慣行等について、引き続き都議会の理解と協力の下、見直しを進めることが必要
- 教員については「学校における働き方改革推進プラン」等に基づく取組を継続的に推進し、実効性を確保することが肝要
- 時差勤務及びフレックスタイム制、テレワーク等の取組の効果検証等を踏まえ、制度導入職場の拡大を含めた検討が必要
- 男性職員の育児休業取得促進について、民間企業等の好事例を取り入れる検討をし、組織のトップが取得を奨励するとともに、取得しやすい職場環境を整備する取組が必要
- 管理監督者は休暇等の制度を十分に理解した上で、職員とのコミュニケーションを積極的に図り、制度を利用する職員が不利益を被ることがないよう留意すべき
イ 職員の勤務環境の整備
- 法改正や国の動向を踏まえ、パワー・ハラスメントのない職場づくりを確実に進めることが必要
- セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントについて、引き続き防止に向けた取組の推進が必要
- 性自認及び性的指向を理由とするハラスメントが起こらないよう防止するとともに、職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できるよう、ハード・ソフト両面から職場環境の整備に努めていくべき
- メンタルヘルス対策は、一次・二次・三次予防の対策を継続的かつ適切に行い、ストレスチェックを職場の勤務環境改善に活用していくことが必要
(3) 公務員としての規律の徹底
- より高いレベルで公務職場での規律を確保するため、職員一人ひとりが、職責の重さを認識し、自律的に行動することが必要。管理監督者は職員の状況を把握して適切に指導・助言し、自らも部下職員に範を示すよう努めるべき
- 「東京都コンプライアンス基本方針」に沿った行動を全職員に徹底するとともに、コンプライアンスの取組を一層強化し、都民から信頼される都政を実現することを期待する
問い合わせ先
東京都人事委員会事務局任用公平部任用給与課
電話 03-5320-6941
電話 03-5320-6942
電話 03-5320-6943 |