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2020年02月20日 生活文化局
都内の消費生活センターには、副業に関する相談が年間800件強寄せられています。
消費者が副業のため、事業者の代理店となる契約をする場合に、特定商取引法など消費者保護規定の対象となるかなど、考え方や問題点を整理して、今後、同種・類似紛争の解決に役立てるため、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会からあっせん・調停不調により終了したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
5名(20歳代から40歳代の男女)
株式会社トラスト ※同名又は類似名の事業者と間違えないようご注意ください。
(登記上の本店所在地:東京都港区芝五丁目16番14号三田ノックスビル3階)
申立人5名は、副業をしようとインターネットで検索したところ、相手方のサイトを見つけ資料請求をしました。その後、詳しい説明をすると言われて相手方と会い、個別に本件代理店契約の説明・勧誘を受けました。
話を聞くだけのつもりでしたが、短期間で契約金の元が取れる、絶対に儲かる、研修やサポートが充実しているので経験が無くても問題なくできるなどと勧誘され、契約してしまい、70万円から90万円の契約金を支払いました。
しかし、勧誘の際に告げられたこととは異なり、ほとんど収入が得られないことなどから、解約を申し出ましたが、返金には応じられないと言われ、紛争になりました。
委員会では、本件契約は、特定商取引法の業務提供誘引販売取引に該当するので、クーリング・オフにより、申立人らが支払った契約金は全額返金されるべきとする内容の解決案を提示しました。
相手方は、委員会に出席し事情聴取に応じましたが、その後の委員会からの解決案の提示に対しては、回答がありませんでした。委員会からは再三の連絡を行いましたが、相手方から何の反応もないため、委員会は、あっせん・調停不調として処理を終了しました。
東京都消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
相手方は、申立人らに対して、本件業務に従事することによって「利益」を「収受」し得ることをもって誘引していた。相手方は、申立人らが支払う契約金と引き換えにマニュアル等の勧誘資料や契約書類、さらには研修・サポートといった「役務」を提供し、申立人らはこの提供されたマニュアル等や研修・サポートを利用して営業活動を行うことによって報酬を受け取ることができる。そうすると、本件では申立人が提供された物品・役務を利用する業務に従事していたということができるが、申立人が行う営業活動が、業務提供誘引販売取引の「業務」に当たるかという点が問題となる。
「業務」は、「その商品の販売」等を行う者が「自ら提供を行う」もの又は「あっせんを行う」ものである。本件のように「代理店」という名称が付されていても、実質的には相手方事業者の営業活動を手足となって担っているにすぎない場合には、事業者が自ら業務を提供していたと言える。したがって、本件契約は、特定商取引法51条1項の「業務提供誘引販売取引」に該当する。
相手方から申立人らに交付された契約書には、業務提供誘引販売取引の契約書としては記載不備があり、したがって、クーリング・オフの起算日がまだ進行していない。申立人らは全員が解約申出書を相手方に送付しているので、本件契約は解除されており、契約金全額が返金されるべきである。
相手方は「1か月、週1でやり続ければ10件契約が取れる」「成約率90%」などと具体的な数字をあげながら、短期間で容易に契約金の元が取れるかのような言辞を行い、申立人らはこれを信じて本件契約を締結したという。しかし、実際には、申立人が店舗を訪問し営業する際に、相手方が同行し相手方が営業するなど相手方のサポートを得ても契約が取れたものは乏しく、申立人単独での店舗訪問では1件も契約が取れていないという。
確実に顧客を獲得できるかどうかは、先に契約金を支払う申立人らにとって重要な事柄であり、これらの言辞は「業務提供誘引販売取引の相手方の判断に影響を及ぼす」といえる。その上で、実際にはこれらの数字どおりの顧客獲得はおろか、顧客を獲得することがほとんど期待できないということであれば、これら勧誘時の相手方の言辞は特定商取引法52条1項の「不実告知」に当たり、申立人らは、同法58条の2により本件契約を取消すことができる。
申立人らは、相手方が契約をしていた貸オフィスで勧誘を受け、本件契約を締結している。そこで、当該貸オフィスが特定商取引法2条1項1号にいう「営業所等」以外の場所と言えるかが問題となる。
当該貸オフィスは利用契約を締結した者であれば自由に利用することができるものの、相手方が勧誘に用いていたのは相手方のみが固定的に利用することができるスペースではなかった。また、この貸オフィスには利用契約締結者以外の不特定多数の者が自由に入ることはできず、さらに、外部の者がこの貸オフィスに連絡すればいつでも相手方とコンタクトをとることができるという状況にはない。
以上のことから、本件契約は特定商取引法2条1項1号にいう「営業所等」以外の場所で締結された契約であり、「訪問販売」に関する規定(クーリング・オフや不実告知に基づく取消しの規定など)が適用される。
※令和元年度は1月末現在の登録数
※困ったときにはまず相談を!!
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
※別添 施設内360度写真のウェブサイト掲載に関する代理店契約に係る紛争案件 報告書(PDF:999KB)
詳しくは東京くらしWEBをご覧ください。
問い合わせ先 東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03-3235-4155 |
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