2020年07月31日
建設局, (公財)東京動物園協会
恩賜上野動物園情報
アジアゾウ「アティ」の結核感染の疑いについて
恩賜上野動物園(園長 福田豊)では、令和2年7月29日にアジアゾウ「アティ」の抗酸菌感染(結核の疑い)が判明しました。現在、アティの体調は安定しています。
抗酸菌(結核菌をふくむ細菌群の総称)感染症は人獣共通感染症ですが、紫外線に弱い性質をもっています。アティは屋外において展示されており、また、十分に距離を保ちガラス越しに観覧するため、来園者への感染の恐れはないと考えられます。
1.感染が判明したアジアゾウ
- 名前
アティ
- 性別
オス
- 年齢
23歳
- 来歴
1996年12月14日 タイ生まれ
2002年10月11日 恩賜上野動物園に来園
アジアゾウ「アティ」
(令和2年4月24日撮影)
2.感染が判明するまでの経緯
- 令和2年7月11日(土曜日)
歩行が著しく遅くなり、血液生化学検査を実施
- 令和2年7月19日(日曜日)
昨夕の餌をほぼすべて残す
検査結果から慢性感染症疾患を疑う
- 令和2年7月20日(月曜日)
食欲は徐々に回復するが、僅かに倦怠感を示す
- 令和2年7月27日(月曜日)
糞便抗酸菌検査実施
- 令和2年7月28日(火曜日)
糞便抗酸菌検査で陽性を確認
- 令和2年7月29日(水曜日)
ゾウ結核簡易診断キットを入手し、検査で陽性反応を確認
3.今後の対応
アティの治療は、国内外の事例等を参考に進めます。今後、アティを含め飼育中のアジアゾウ4頭のより詳細な検査(PCR検査及び細菌培養検査)を実施予定です。また、飼育担当職員には飼育作業時のマスク、手袋、ゴーグルの着用、塩素消毒などを更に徹底し、感染拡大の防止を図っていきます。
アジアゾウの展示は病状の変化等に応じて休止する場合があります。
アティの屋外放飼場
(来園者とはプールとガラス壁で遮られている)
メスの屋外放飼場
(来園者とは一定の距離が確保されている)
4.当園での飼育状況(令和2年7月31日現在)
4頭(オス1、メス3)
- オス「アティ」
1996年12月14日生まれ(23歳)
2002年10月11日にタイから来園
- メス「ダヤー」
出生日不明(推定43歳)
1984年9月20日にインドから来園
- メス「スーリヤ」
出生日不明(推定26歳)
2001年4月5日にインドから来園
- メス「ウタイ」
1998年2月7日生まれ(22歳)
2002年10月11日にタイから来園
5.国内の飼育状況(令和元年12月31日現在)
33園館85頭(オス21、メス64)
資料:2019年国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】
参考
アジアゾウ(長鼻目 ゾウ科)
(ワシントン条約附属書第1表、IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種)東京都ズーストック種)
- 学名
Elephas maximus
- 英名
Asian Elephant
- 分布
南~東南アジア、および中国
- 形態
体重3~6トン、体高2~4メートル。体色は灰色もしくは灰褐色。加齢とともに皮膚の色素が抜け、体色の薄い部分が目立ってくることがあります。一般的にメスの牙(切歯)は小さく、オスの方が大きく目立ちます。雌雄ともに全く生えない個体もいます。エサを食べるための臼歯は一生の間に5回生え変わります。鼻先の上部に突起がひとつあり、爪は前肢5個、後肢4個。頭の横の部分に側頭腺と呼ばれる分泌腺があり、興奮時などに液体が分泌されます。
- 生態
森林に生息し、植物を食べます。5~10頭のメスとその子どもによる群れで行動します。メスは10歳程度で繁殖可能となり、妊娠期間は630~660日程度。産仔数は1頭。オスは成長すると群れを離れて単独で行動します。オスには年1回程度、「マスト」と呼ばれる興奮期がありますが、繁殖行動との関係は明らかではありません。
※「附属書第1表」の数字の正しい表記はローマ数字です。
問い合わせ先
(公財)東京動物園協会
恩賜上野動物園
電話 03-3828-5171(代表)17時00分まで
恩賜上野動物園教育普及課
電話 03-3822-5811
建設局公園緑地部管理課
電話 03-5320-5365 |