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2020年08月27日 環境省, 東京都, (公財)東京動物園協会
環境省及び東京都が飼育下繁殖の実施等により生息域外での増殖に取り組んでいる国内希少野生動植物種オガサワラシジミについて、飼育下の全ての個体が死亡し、繁殖が途絶えましたのでお知らせします。今回の結果を重く受け止め、今後、専門家を交え、飼育下個体が途絶えた原因を分析し、教訓として絶滅危惧種の保全対策に活かしてまいります。
絶滅危惧種のオガサワラシジミについては、小笠原諸島で分布が記録されていますが、外来種のグリーンアノールの影響等により、1990年代までに父島列島で姿を消し、近年、母島で見られるのみとなったため、関係機関、団体、専門家、地域住民等と、生息域内外での保全対策に取り組んできました。その一環で東京都多摩動物公園と環境省新宿御苑においてオガサワラシジミの累代飼育にも取り組んできましたが、今春から個体の有精卵率が急激に低下し、繁殖が困難となり、令和2年8月25日に飼育していた全ての個体が死亡しました。
現時点では、有精卵率が急激に低下し繁殖途絶に至った原因は不明ですが、専門家による調査の結果、新宿御苑の個体ではオスの精子量の極端な低下が短期間に観察され、近親交配による有害な遺伝子の蓄積(近交弱勢)が生じたことが繁殖途絶に至った要因の一つとして指摘されています。
保護増殖事業として実施している生息域外個体群が途絶えたのは初めてのことです。環境省としては、本件について重く受け止め、保護増殖事業計画を審議する機関である中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会の委員長及び、保護増殖事業計画に基づき設置されたオガサワラシジミ保護増殖検討会の座長に要請し、現時点での考察を談話の形でいただきました(別紙1(PDF:143KB)及び別紙2(PDF:150KB))。
本種は平成30年6月を最後に、母島においても個体が確認されていない状況が続いており、今回、生息域外個体群が途絶えたことは、本種の保存にとって非常に危機的な状況と認識しています。種の保存法に基づくオガサワラシジミの保護増殖事業を実施する国と都としては、専門家による談話の内容を踏まえ、次の点について、今後の対応を検討してまいります。
参考1:オガサワラシジミについて(種の概要資料)(PDF:149KB)
参考2:オガサワラシジミに関する主要なできごと・取組(PDF:251KB)
別紙1:中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会委員長談話(PDF:143KB)
別紙2:オガサワラシジミ保護増殖検討会座長談話(PDF:150KB)
問い合わせ先 (保護増殖事業全般について) 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 電話 03-5521-8353 (小笠原諸島及び新宿御苑における保護の取組全般について) 関東地方環境事務所野生生物課 電話 048-600-0817 (東京都における取組及び多摩動物公園における生息域外保全事業について) 公益財団法人東京動物園協会 多摩動物公園教育普及課 電話 042-591-1689 電話 042-591-1611(代表 ※17時00分まで) 環境局自然環境部緑環境課(動物園飼育以外) 電話 03-5388-3454 |
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