ここから本文です。
2020年10月20日 生活文化局
都内の消費生活センターには、教育サービス契約を中途解約したが返金されないといった外国人留学生からの相談が寄せられています。未受講分の返金について消費者保護の規定の適用に関する考え方を整理して、今後、同種・類似紛争の解決に役立てるため、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会からあっせん・調停手続に至らなかったが、本件に係る法的問題点について審議しとりまとめた旨、知事に報告がありましたので、お知らせします。
外国人留学生である申立人(20歳代女性)は、日本の大学院進学を希望しており、来日して日本語を学ぶため、日本語教育サービス事業者である相手方が提供する進学1年9か月コース(平成30年7月入学)に申し込んだ。学費は、相手方の請求により、平成30年5月に最初の1年分を、令和元年5月に残りの9か月分を支払った。支払期限等が記載された学費納付依頼書以外に、契約書などはもらっていない。
令和元年8月上旬に、9月下旬から希望の大学院に入学できることが決まったことを理由に、相手方に9月末での退学と10月以降の授業料の返金を申し出たが、相手方からは、ルールにより一切返金できないと言われた。授業を受けていないので、中途退学後の令和元年10月から翌年3月までの学費を返金してほしい。
委員会では当事者双方から資料の提出を受け聴取を行い、解決案を提示することとしていたが、審議の中途で相手方代理人弁護士から、消費者被害救済委員会ではなく、裁判所において本件の適正な解決を図るとの申し出があり、相手方から、今後の資料提供及び聴取への協力が得られないこととなった。
本件について、最終的な解決案を示すための審議に足る調査が難しいため、解決処理の手続を終了することとしたが、本件が付託された趣旨に鑑み、本件で考え得る法的問題点について審議し、基本的な考え方を示すこととした。
※東京都消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
特定商取引法で規制対象となる特定継続的役務提供では、語学教室(語学の教授)は対象となっているが、小・中・高校、大学等の入学試験準備や学校教育の補習に特化したものは、この対象から除かれるとされている。しかし、例えば進学コースというコース名であっても、そこに入学準備を目的としない他のコースの受講生が含まれている場合や、他コースと比較して教育内容に差異が見られないなどの場合においては、入学試験準備に特化した教育サービスを提供するものとは認められず、特定商取引法で定める「語学の教授」に該当する可能性があるのではないか。
教育機関での在学契約に関し、中途解約をする学生が現れたとしても、年4回程度の入学機会を設定しているなどの場合、中途入学者を受け入れ、欠員を補充するための対応をとることもできると考えられる。
このような場合、例えば、「中途解約に際して解除後の期間に対応する授業料を一切返還しない」という特約は、消費者契約法9条1号における平均的損害を超えるものと解することができるのではないか。
学年途中の退学者の授業料の扱いについては、入学当初の契約書や入学生向けの説明書等で判りやすく明示していただきたい。日本語教育サービス事業者には、留学志望者が事前に契約内容を知ることができるよう、ウェブサイトなどで明示するなどの対応を期待するほか、諸外国の留学仲介業者に文書によって契約内容を周知させる工夫と努力が望まれる。
留学生は、留学仲介業者からの口頭の説明だけでなく、日本語教育サービス事業者が発行した契約書やその内容が説明されたものをインターネットで入手するなどして、現状を確認した上で、申込金・入学金・学費などを支払う慎重さが望まれる。
※別添 日本語教育サービスの中途解約に係る紛争案件報告書(PDF:804KB)
詳しくは「東京くらしWEB」をご覧ください。
問い合わせ先 東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03-3235-4155 |
Copyright (C) 2000~ Tokyo Metropolitan Government. All Rights Reserved.