2021年04月28日
生活文化局
東京都消費者被害救済委員会に「トイレの詰まりをきっかけとした高額な修理契約に係る紛争」の解決を付託しました
本日、東京都知事は、東京都消費生活条例に基づく紛争処理機関である東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に、標記紛争の解決を新たに付託しましたので、お知らせします。
付託案件の概要
申立人
2名(A:20歳代・学生、B:20歳代・会社員)
契約内容
配管洗浄等修理契約(A:25万円、B:25万円)
各申立人の主張による紛争の概要
自宅のトイレが詰まったので、修理を頼もうとインターネットの検索で1番上に出てきた「950円~」という安価な代金の広告をしていた事業者に連絡した。詰まりの解消修理を依頼したところ、電話番号と住所を聞かれた。折り返しの電話で「○○分後に伺います。」と言われ、事業者が自宅に訪ねてきた。詰まりの解消修理を始めたが、解消されないからと次々に高額な修理を提案された。早く詰まりを解消したくて焦っていたため了承し、高額な修理契約をしてしまった。
申立人A
- 修理内容・提示金額
1)強力なラバーカップ 1万5千円
2)便器脱着 5万円
3)配管洗浄 25万円
- 支払金額
25万円
- 支払方法
現金
申立人B
- 修理内容・提示金額
1)便器脱着 2万円
2)配管洗浄 25万円
- 支払金額
25万円
- 支払方法
クレジットカード
各申立人は、事業者が帰った後に、インターネットで事業者の評判や相場を調べたり、知人・親に相談するなどして、高すぎると思った。翌日消費生活センターに相談し、8日以内にクーリング・オフ通知を出した。
各申立人の意向
事業者はクーリング・オフを認めず、現在の支払金額から2、3万円の減額なら応じると言う。納得いかない。全額返金してほしい。
付託理由
都内の消費生活センターには、2020年4月以降、トイレの詰まりをはじめとする水回りの修理トラブルが特に20歳代、30歳代を中心に急増しています。在宅学習・在宅ワークの増加で在宅時間が長くなることにより、今後さらに被害が拡大することが懸念されます。
本件を解決するとともに解決に当たっての考え方を広く示すことにより、同種の消費者被害の防止と救済を図るため、本件を付託するものです。
主な問題点
- 各申立人によると、インターネットで「950円~」という広告を見て、これが基本料金ならそれほど高額にはならないだろうと思い事業者に修理を依頼した。最初から25万円もの高額な修理契約になる可能性があるとわかっていたら、依頼しなかったという。
一方、事業者は、1)消費者が修理のため事業者の来訪を要請した2)消費者には修理内容と代金をその都度伝え、承諾後に施工したため、特定商取引法の訪問販売には該当せず、クーリング・オフはできないと言っている。
訪問後に修理代金を伝えて消費者の承諾を得ていたとしても、そもそも広告の金額と実際の請求額に大きな開きがある場合は、消費者が当該契約をするために来訪を要請した【注】とは言えないのではないだろうか。
【注】「契約をするために来訪を要請した」者は、訪問販売におけるクーリング・オフの規定が適用されない。
- トイレが詰まるなどの水回りのトラブルを始め、鍵のトラブルや害虫駆除など、急を要する事態が発生すると、多くの人は慌てて目についた事業者に来訪を要請してしまう。当該事業者のように、広告で安価な代金を表示して消費者を誘引し、消費者の家に来てから次々と広告の金額よりも高額な修理代金を提示して契約する方法に問題はないのだろうか。
東京都消費者被害救済委員会における今後の処理
- 東京都消費者被害救済委員会とは
東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関で、弁護士や大学教授などの学識経験者、消費者団体の代表、及び事業者団体の代表で構成されています。
都内の消費生活センター等の相談機関に寄せられた消費生活相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行います。
- 委員会に付託すると
委員数名による部会を構成し同部会で審議を行います。両当事者から話を聴き、公正な解決策を検討し、両当事者にあっせん案として提示します。両当事者が受諾すれば解決となります。
あっせん案の考え方は当該紛争だけでなく、他の類似紛争の解決にも役立つことから、東京都消費生活条例に基づき、広く都民の方々や関係者にお知らせしています。
- 委員は別紙(PDF:118KB)のとおり
- 紛争処理実績はホームページを御覧ください。
消費者被害に関する注意喚起
- トイレの詰まりなど水回りのトラブルは、突然発生するために慌ててしまいがちです。日頃から、近所の工務店など信用できる店舗を探しておきましょう。トイレの詰まりは、市販のラバーカップにより解消することもあります。事業者を呼ぶ前に試してみましょう。
同様の相談が非常に多いことから、消費者被害の未然防止・拡大防止のために、都では以下のように注意を呼び掛けています。
- このほか、都では様々な消費者被害などについて注意喚起を行っています。是非参考にしてください。
※困ったときにはまず相談を!!
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
東京都消費生活総合センター 電話 03-3235-1155
お近くの消費生活センターは 局番なし 188(消費者ホットライン)
詳しくは「東京くらしWEB」をご覧ください。
問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
電話 03-3235-4155 |