〔別紙3〕
令和2年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価結果
東京都が設立した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(以下「法人」という。)の令和2年度業務実績評価について、お知らせいたします。
1 評価制度の概要
- 知事は、法人の各事業年度の業務実績について、地方独立行政法人法第28条及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例第2条の規定に基づき、附属機関である東京都地方独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)の意見を聴いたうえで、評価を行うこととなっています。
- 評価委員会は、矢崎義雄氏(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会理事長)を委員長とし、計17名の外部有識者で構成されています。当法人については、委員長の矢崎氏を分科会長とする高齢者医療・研究分科会に意見を聴いています。
※矢崎氏の「崎」は、正しくは「大」が「立」のものです。
2 評価方針と手順
- 知事が定め法人に指示した5年間の中期目標の達成に向け、法人が作成した中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善・向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しました。
3 評価結果の概要
- 評価は、「項目別評価」と「全体評価」とで実施しました。
- 項目別評価は、「高齢者の特性に配慮した医療の確立・提供と普及」「高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究」などの分野における、令和2年度計画の計20項目について、事業の進捗状況・成果を5段階で評価しました。
- 全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の進行状況全体について、「全体として年度計画を順調に実施しており、概ね着実な業務の進捗状況にある」と評価しました。
(1)項目別評価(20項目)
- 評定S(年度計画を大幅に上回って実施している)…2項目
高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究、研究推進のための基盤強化と成果の還元
- 評定A(年度計画を上回って実施している)…11項目
血管病医療、高齢者がん医療、認知症医療、生活機能の維持・回復のための医療、救急医療、高齢者の地域での生活を支える研究、老年学研究におけるリーダーシップの発揮、医療と研究とが一体となった取組の推進、地方独立行政法人の特性を生かした業務の改善・効率化、コスト管理の体制強化、その他業務運営に関する重要事項
- 評定B(年度計画を概ね順調に実施している)…7項目
- 評定C(年度計画を十分に実施できていない)…なし
- 評定D(業務の大幅な見直し、改善が必要である)…なし
(2)全体評価
ア 総評
- 全体として年度計画を順調に実施しており、概ね着実な業務の進捗状況にある。
- 病院部門については、新型コロナウイルス感染症対応のため、診療を制限せざるを得ない状況下においても、三つの重点医療(血管病、高齢者がん及び認知症)について、高度な技術を活用した鑑別診断や低侵襲な治療など高齢者の特性に合わせた医療の提供に努め、高齢者の急性期医療を担う病院としての役割を果たした。
- 研究部門については、高齢者に特有な疾患に関する研究に継続的に取り組み、老年症候群の克服に向けた研究を更に推進した。また、知的財産管理業務の委託化や専門人材の採用など研究基盤を更に強化することで、研究成果の実用化や社会への還元を推進した。
- 経営部門については、コロナ禍において、公的医療機関として東京都の施策に貢献する一方、医業収入の確保やコスト管理、院内クラスターの再発防止など感染防止対策の更なる強化が求められる。
イ 都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項
- 血管病医療について、急性大動脈スーパーネットワーク等からの急性期患者を積極的に受け入れ、高齢者の多様な症例に対して低侵襲で効果的な医療を提供した。
- 世界で初めて、膵臓がんの増殖と浸潤を抑えて老化を誘導することが可能であることを明らかにするとともに、老化細胞死誘導薬の併用による画期的な治療法の可能性を示した。また、筋間質の間葉系前駆細胞の加齢変化がサルコペニア発症の一因となることを明らかにし、今後のサルコペニアの予防・治療法開発に貢献した。
- 研究支援組織「健康長寿イノベーションセンター」(HAIC)において、研究推進のための基盤をより一層強化し、過去最高額となる競争的外部資金の獲得や新規特許申請件数の増加につなげた。
ウ 法人の業務運営及び財務状況に関する事項
- 新型コロナウイルス感染症への対応として、病院部門と研究部門の連携によりPCR検査体制を迅速に整備したほか、宿泊療養施設への看護師派遣や他病院からの重症患者に対するECMO等を用いた高度医療を提供した。
- コロナ禍においても、インターネット予約サービスの開始やPCR検査後の直接面会の実施等により、患者サービスの向上につなげたほか、医療従事者に対するサポート体制の強化や医師事務作業補助者の積極的な活用、年次有給休暇の取得促進等により、職員のライフ・ワーク・バランスに配慮した働きやすい職場環境の整備を推進した。
エ 中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望
- 令和3年度は、第三期中期目標期間の4年目であり、目標達成に向け、より加速度的に取組を進めることが必要である。
新型コロナウイルス感染症など医療・研究を取り巻く社会状況を踏まえ、東京都における高齢者医療・研究の拠点として、地域の医療機関等と連携を図りながら、その役割を着実に果たすとともに、目標達成に向け、法人一丸となって取り組むことが期待される。
※別添 令和2年度 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書(PDF:9,339KB)