2021年09月21日
財務局
令和3年東京都基準地価格の概要
【調査基準日:令和3年7月1日】
国土利用計画法に基づく令和3年7月1日時点の東京都の基準地価格については、都内1,280地点の選定基準地の調査を行い、各地点の価格を令和3年9月22日付告示で公表する。
用途区分ごとの地点数は、住宅地771地点、商業地476地点、工業地16地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
地区の分類及び地点数の配分は、次の内訳のとおりである。
[区部]
- 都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区(5区:170地点)
- その他区:文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区(18区:553地点)
[多摩地区]
- 北多摩地区:立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、西東京市(17市:248地点)
- 南多摩地区:八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市(5市:204地点)
- 西多摩地区:青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町(4市3町1村:77地点)
[島部]
- 大島町、新島村、神津島村、三宅村、八丈町、小笠原村(2町4村:28地点)
1 令和3年基準地価格の動向
(1)全域的な動向
東京都全域でみた場合、住宅地及び工業地における対前年平均変動率(以下、地点ごとの対前年変動率を「変動率」といい、地区・用途等の区分ごとに算出した対前年平均変動率を「平均変動率」という。)は9年連続でプラスを維持したが、商業地は9年ぶりのマイナスとなった。また、住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計(以下、「全用途」という。)において、平均変動率は9年連続でプラスを維持したが、上昇幅は縮小した。
令和2年調査では、区部625地点、多摩地区79地点の計704地点で価格が上昇したが、令和3年調査では、433地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が711地点中331地点、多摩地区が525地点中102地点で、用途別の内訳は、住宅地が762地点中303地点、商業地が469点中119地点、工業地が14地点中11地点である(本年新規設定及び選定替した地点を各母数から除く)。
前年から価格が下落した地点は、令和2年は379地点(区部37地点、多摩地区332地点、島部10地点)だったが、令和3年は365地点(区部173地点、多摩地区186地点、島部6地点)となった。
前年から価格変動がない(価格横ばい)の地点は、令和2年は178地点(区部48地点、多摩地区112地点、島部18地点)だったが、令和3年は464地点(区部207地点、多摩地区237地点、島部20地点)となった。
(単位:%)
項目
地区
|
住宅地 |
商業地 |
工業地 |
全用途 |
令和3年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和2年 |
区部 |
0.5 |
1.4 |
-0.3 |
1.8 |
1.7 |
2.1 |
0.1 |
1.6 |
多摩地区 |
0.0 |
-0.8 |
0.0 |
-0.4 |
2.1 |
-0.7 |
0.0 |
-0.7 |
島部 |
-0.1 |
-0.4 |
-1.2 |
-1.3 |
- |
- |
-0.4 |
-0.6 |
東京都全域 |
0.2 |
0.2 |
-0.3 |
1.3 |
1.9 |
1.0 |
0.1 |
0.6 |
|
(2)住宅地の動向
区部では、令和2年調査に比べて横ばい地点が増加し、上昇地点の多くでも変動幅の縮小が見られる。
多摩地区では、地価下落地点が大幅に減少し、利便性の優る地域等で相対的に高い平均変動率となっている。一方、斜面造成地や駅からの距離が遠い地域、人口減・高齢化が進む地域を中心に下落幅が大きい地点が見られる。
区部
- 区部全域の平均変動率は0.5%となった。
令和2年調査の1.4%に比べ上昇幅が縮小した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは品川区の1.9%(前年1.1%)で、港区及び台東区の1.8%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区1.1%、その他区0.5%で、ともに令和2年調査と比較して上昇幅が縮小した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は0.0%となった。11市で平均変動率がプラスとなり、13市3町1村ではマイナスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは狛江市及び稲城市の1.6%(それぞれ前年0.3%、0.9%)で、武蔵野市の1.5%がこれに続いている。
- 平均変動率が最も低かったのは東大和市の-1.3%(前年-1.1%)で、日野市の-1.1%、奥多摩町の-0.8%がこれに続いている。
(3)商業地の動向
区部では、都心区を中心に地価下落地点が増加しており、繁華街やオフィスの集積する地域で下落幅の大きい地点が見られるが、都心区以外の区で再開発の進捗が見られる地域等では上昇を維持した。
多摩地区では、地価下落地点は減少し、区部に近い駅周辺の商業地を中心に、相対的に変動率の高い地点が見られる。
区部
- 区部全域の平均変動率は-0.3%となり、令和2年調査の1.8%からマイナスに転じた。平均変動率は11区でプラスとなり、都心5区のほか4区でマイナスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは中野区及び杉並区の0.6%(それぞれ前年2.4%、2.3%)で、墨田区及び江東区の0.5%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区-1.3%、その他区0.2%で、令和2年調査と比較して都心5区はマイナスに転じ、その他区は上昇幅が縮小した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は0.0%となった。8市で平均変動率がプラスとなり、14市2町でマイナスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは三鷹市の1.6%(前年1.6%)で、国分寺市の0.8%、西東京市の0.7%がこれに続いている。
- 平均変動率が最も低かったのは昭島市の-0.9%(前年-1.3%)で、武蔵村山市、福生市、瑞穂町及び奥多摩町の-0.8%がこれに続いている。
(4)工業地の動向
インターネット通販の普及等による物流施設への需要などから、変動率は上昇もしくは横ばいとなっている。
- 区部全域の平均変動率は1.7%となり、令和2年調査の2.1%に比べ上昇幅が縮小した。8地点中7地点で変動率がプラスとなり、1地点で0.0%(変動なし)となった。
- 多摩地区全域の平均変動率は2.1%となり、令和2年調査の-0.7%からプラスに転じた。6地点中4地点で変動率がプラスとなり、2地点で0.0%(変動なし)となった。
(5)地価の半年単位の動向
- 地価公示の標準地と同一地点である基準地(以下、「共通地点」という)212地点のうち、前半期(令和2年7月1日~令和3年1月1日)・後半期(令和3年1月1日~同年7月1日)で比較可能な207地点の変動率をみた場合、57地点で前半期の変動率より後半期の変動率が高く、46地点では前半期・後半期ともに0.0%となった。
- なお、共通地点の令和元年7月1日から令和3年7月1日における半年単位及び年間の平均変動率は、下表のとおりである(2年間を通じて比較可能な199地点より算出)。
(単位:%)
|
令和2年 |
令和3年 |
前半期
令和元年7月1日~令和2年1月1日 |
後半期
令和2年1月1日~令和2年7月1日 |
年間 |
前半期
令和2年7月1日~令和3年1月1日 |
後半期
令和3年1月1日~令和3年7月1日 |
年間 |
区部 |
住宅地 |
2.1 |
-0.6 |
1.4 |
0.0 |
0.5 |
0.6 |
商業地 |
4.2 |
-2.2 |
2.0 |
-0.6 |
-0.1 |
-0.6 |
全用途 |
3.1 |
-1.3 |
1.7 |
-0.3 |
0.3 |
0.0 |
多摩地区 |
住宅地 |
0.6 |
-1.0 |
-0.4 |
0.0 |
0.2 |
0.2 |
商業地 |
2.0 |
-1.9 |
0.1 |
0.0 |
0.1 |
0.1 |
全用途 |
1.1 |
-1.3 |
-0.2 |
0.0 |
0.1 |
0.1 |
東京都全域 |
住宅地 |
1.4 |
-0.8 |
0.7 |
0.0 |
0.4 |
0.4 |
商業地 |
3.6 |
-2.1 |
1.4 |
-0.4 |
0.0 |
-0.4 |
全用途 |
2.4 |
-1.3 |
1.0 |
-0.2 |
0.2 |
0.0 |
|
2 地価動向の背景
(1)経済の動向(全国)
令和2年8月から令和3年7月までの「月例経済報告」基調判断では、令和3年1月までは「依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」とされていたが、令和3年2月に「一部に弱さがみられる」と10か月ぶりに下方修正された。その後、令和3年5月に「一部で弱さが増している」と、さらに下方修正されている。(出典:内閣府「月例経済報告」)
(2)土地所有権移転の動向(東京都)
令和2年6月から令和3年5月までの東京都における売買による土地所有権移転登記件数は125,531件で、前年同期の131,027件と比較して-5,496件(-4.2%)となっている。(出典:法務省「登記統計」)
(3)住宅市場の動向(東京都)
- 令和2年6月から令和3年5月までの東京都における新設住宅着工戸数は135,026戸で、前年同期の135,519戸と比較して-493戸(-0.4%)となっている。主な内訳をみると、持家は+2.9%、貸家は+1.9%、分譲住宅は-3.9%となっている。地域別でみると、都心3区(千代田区、中央区、港区)は-9.0%、区部全域は-1.1%、多摩地区市部は+2.9%となっている。(出典:住宅政策本部「住宅着工統計」)
- 平成22年を100とした令和3年4月の東京都の不動産価格指数(住宅)は、住宅総合131.2(前年同月比+5.3%)、住宅地109.3(同+8.6%)、戸建住宅107.2(同+0.0%)、マンション161.9(同+6.5%)となっている。(出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」)
- 令和3年1月から令和3年6月までの東京都区部の新築マンションの供給戸数は5,816戸で、前年同期の3,845戸と比較して+1,971戸(+51.3%)となっている。平方メートル当たり単価は127.3万円/平方メートルで、前年同期の132.4万円/平方メートルと比較して-5.1万円(-3.9%)となっている。(出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」)
- 令和2年7月から令和3年6月までの東京都の中古マンションの新規登録件数は92,853件で、前年同期の111,007件と比較して-18,154件(-16.4%)となっている。令和3年6月の新規登録件数は7,650件(前年同月比-15.1%)で、22か月連続で前年同月を下回り、成約平均平方メートル単価は81.94万円/平方メートル(同+16.7%)で、14か月連続で前年同月を上回っている。(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch」)
(4)オフィス市場の動向(東京都・都心5区)
令和2年7月から令和3年6月までの都心5区のオフィスビル(基準階面積100坪以上)空室率は、上昇傾向が続いている。令和3年6月には6.19%となり、平成26年8月以来の6%台に上昇した。令和3年6月の坪当たりの平均募集賃料は21,160円/坪(前年同月比-7.5%)で、7か月連続で前年同月を下回っている。(出典:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」)
(5)不動産投資市場の動向
令和3年6月末のJ-REIT保有不動産額は、20兆8,312億円で、前年同期の19兆7,164億円と比較して、+1兆1,148億円(+5.7%)となっている。(出典:一般社団法人不動産証券化協会「ARESマンスリーレポート」)
(6)国内銀行の貸出動向(全国)
令和3年3月期の不動産業向け貸出金残高は87兆8,074億円で、前年同期の85兆518億円と比較して+2兆7,556億円(+3.2%)となり、38四半期連続して前年同期を上回っているが、前年同期比は平成27年9月期から平成30年12月期までは5%台から7%台で推移していたところ、その後は3%台から4%台前半で推移している。(出典:日本銀行「貸出先別貸出金」)
(7)人口の動向(東京都)
- 令和3年1月1日現在の東京都の総人口は1,384万3,525人で、令和2年1月1日と比較して8,600人の増となっている。区部、多摩地区市部、多摩地区町村部及び島部の地区別でみると、区部と多摩地区市部で人口が増加し、増減率は、区部+0.02%、多摩地区市部+0.17%、多摩地区町村部-0.77%、島部-1.63%となっている。(出典:総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
- 令和3年1月1日現在の生産年齢人口(15~64歳)は910万4,339人で、令和2年1月1日と比較して約5,400人の減となっている。うち日本人は約2万5千人の増で6年連続の増となった。地区別では、多摩地区市部で増となり、区部、多摩地区町村部及び島部で減となっている。増減率は、区部-0.1%、多摩地区市部+0.01%、多摩地区町村部-1.08%、島部-1.69%となっている。令和3年1月1日現在の人口総計に占める生産年齢人口の割合は、東京都全体でみた場合65.77%、地区別にみた場合は、区部67.23%、多摩地区市部62.65%、多摩地区町村部54.68%、島部52.82%で、いずれも令和2年1月1日の割合から微減となっている。(出典:総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
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電話 03-5388-2736 |