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2021年10月15日 生活文化局
令和2年度に都内の消費生活センターに寄せられたトイレの詰まり解消等修理に関する相談は、前年度の約3倍と若年層を中心に急増しました。
緊急性の高い修理等自ら訪問を要請した本件のトラブルに関して、法的な考え方や問題点を整理して、今後の同種・類似紛争の解決にも役立てるため、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会から知事に、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。
申立人ら(20歳代の男性2名)は、自宅のトイレが詰まったため、インターネットで検索して、一番上に出てきた「950円〜」、「980円〜」と安価な代金を表示していたホームページのフリーダイヤルに電話して、詰まりの解消修理を依頼しました。相手方(水回り修理事業者)からはすぐに折り返しの電話があり、これから行くと言われましたが、代金や具体的な作業内容はわかりませんでした。自宅を訪ねてきた相手方はすぐに修理を始め、詰まりが解消しないと言って次々に修理方法とその代金を提案してきました。申立人らは、はやく詰まりを解消したいと焦って、その都度了承し、その結果、高額な代金(25万円)を請求され、支払うことになってしまいました。
翌日、インターネットで事業者の評判や修理代金の相場を調べたり、親や知人に相談したりして、支払った代金は高すぎると思い、消費生活センターに相談しました。8日以内にクーリング・オフ通知を出しましたが、相手方がこれを認めなかったため、紛争になりました。
委員会では、本件契約は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)で規定する訪問販売に該当し、同法第9条に基づくクーリング・オフができると判断しました。その結果、申立人ら及び相手方事業者双方で、既払金の返還及び債務不存在の確認を行う合意が成立しました。
東京都消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
インターネットの広告を見て修理を依頼した申立人らに対し、相手方は申立人らの自宅において、作業内容・代金の説明を行い、各工程の都度申立人らから了承を得た上で、作業を開始している。このことから、本件は、営業所等以外の場所で役務提供契約を締結して行う役務の提供に該当するため、特定商取引法第2条第1項第1号の訪問販売に該当する。
申立人らは、「950円~」、「980円~」というホームページ上の表示を見て修理を依頼したが、広告には総額や上限額、具体的な作業内容が分かる記載はなく、また、電話で修理を依頼した際にもそうした説明はされていなかった。
特に代金は、契約の成立に必要不可欠な要素であるが、申立人が事前に知り得た金額と実際の代金(25万円)との間には、約250倍という相当の開きがある。依頼した段階では契約の主要部分が確定しておらず、申立人らは、安価な金額での修理を依頼したのであって、最終的な作業内容・代金による契約をする意思を有していたとは言えない。よって、特定商取引法第26条第6項第1号で規定する「役務提供契約の申し込みをし」又は「役務提供契約を提供することを請求し」た者には当たらないため、適用除外に該当せず、同法第4条から第10条までの規定の適用を受ける。
【注】販売業者等が自らの意思に基づき住居を訪問して販売を行うのではなく、消費者の「請求」に応じて行うその住居における販売等は、クーリング・オフ等の規定が適用除外となる。
本件は、上記1及び2により、特定商取引法第9条のクーリング・オフの適用を受ける。申立人らは契約を締結した日から8日以内に解約通知を送付していることから、クーリング・オフは成立する。
(ア)修理事業者に対して、消費者との公正かつ適正な契約の締結を促す措置を取るよう注意喚起し、(イ)広告の不当表示が疑われる事業者に対する規制、法執行を強化し、(ウ)トイレの詰まりの修理対応について消費者に必要な注意喚起をするなどして、被害の拡大を未然に防ぐ方策を実施することが求められる。
※本件の詳細は、報告書(PDF:765KB)をご覧ください。
詳しくは「東京くらしWEB」をご覧ください。
問い合わせ先 東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03-3235-4155 |
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