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2021年10月26日 産業労働局
東京都では、先端医療機器開発のモデルケースを創出し、優れた後続企業参入を促進することで、都内で先端医療機器のエコシステム構築を目指しています。本プロジェクトでは、優れた技術やビジネスアイデアを持つ中小企業等に対し、都内に集積する臨床や薬機法など各分野の専門家が集中的な指導・助言を行い、先端医療機器の開発・事業化を支援します。
このたび、本プロジェクトの支援対象者3者が決定しましたので、お知らせいたします。
特発性拡張型心筋症に対する新たな治療法(心臓形状矯正ネット)の開発
特発性拡張型心筋症は、心臓が拡張し、心不全を引き起こす指定難病で、現在約2万人が認定されている。心不全が進行すると心臓移植が唯一有効な治療法であるが、絶対的なドナー不足により心臓移植が受けられる患者は年間80例未満であり、新たな治療法の開発が望まれている。
そこで、この病気に対する新たな治療法「心臓形状矯正ネット」を開発する。本ネットは、コンピュータ編み機で、患者ごとの心臓の形に合わせて製造されるメッシュ状の袋である。手術で心臓周囲にこのネットを被せることで、心臓の拡張を防止し、患者の心不全症状の改善とともに、身体活動の向上を実現する。
AIを活用した細胞診断支援システムの開発
顕微鏡を用いた細胞や血液などの検査は広く実施されているが、正確な検査には検査士の技量が必要であり、大量に検査するには手間と時間がかかる。そこで、高速デジタル顕微鏡とAI技術を組み合わせ効率的な検査が可能なシステムを開発する。さらに、多種多様な細胞の中からがん細胞をAIが精密に識別して取り分けることを可能とし、がん細胞の精密で高精度な検査の普及を目指す。
神経軸索束を用いた末梢神経損傷治療のための医療機器開発
外傷などで末梢神経に欠損が生じた場合の現在の治療法は、患者自身の神経移植や人工神経を用いた外科手術である。しかし、現状では採取できる自身の神経の長さに限界があること、機能の回復が遅いなどの課題がある。
このため、ヒトiPS細胞から分化させた神経細胞を用いて軸索束組織を作製し、これらの周囲を生体内で分解・吸収されるチューブで囲み、末梢神経の欠損部分に移植することで、神経再生の足場とする新しい再生誘導法を開発する。
なお、この技術は軸索束を一度に大量に生産が可能であること、軸索束をチューブで囲むことで一製品となることに特徴がある。
【注1】カタライザーは、支援対象企業と定期的にミーティングを行い、進捗度合いに応じて各種専門家と連携した指導・助言を行い、プロジェクトの事業化に向けた支援を行います。
【注2】専門家は、医療機器開発及び医工連携に係る高度かつ専門的な知見(臨床、薬事、保険、工学、知財、ビジネス等)を有する者で、カタライザーの求めに応じて、開発プロジェクトに対する指導・助言を行います。
本件は、「『未来の東京』戦略」を推進する事業です。
戦略12 稼ぐ東京・イノベーション戦略「オープンイノベーション創出プロジェクト」
問い合わせ先 産業労働局商工部創業支援課 電話 03-5320-4693 |
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