2021年12月09日
労働委員会事務局
Z事件命令書交付について
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙(PDF:224KB))。
1 当事者
2 争点
本件申立てが労働組合法(以下「労組法」という。)に適合する労働組合の意思に基づいて行われた、同法の趣旨に沿う申立てであるといえるか否か、また、組合が、令和元年6月24日付けで申し入れた、未払残業代等に係る団体交渉(本件団体交渉申入れ)に、会社が応じなかったことが正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
3 命令の概要<全部救済>
- 組合は労組法に適合する労働組合であり、本件申立ては、その意思に基づいて行われた同法の趣旨に沿うものであり、本件申立てが不適法であるとして却下を求める会社の主張は、採用することができない。
- 会社は、懲戒解雇によりX2は従業員、組合員及び中央執行委員としての身分を喪失したとして、また、組合の代表者ではない者との間で交渉等は法的な効力に疑義が生ずるとして、中央執行委員長X2名義による本件団体交渉申入れを拒否した。しかし、当時、組合内において懲戒解雇後のX2の組合員資格や同人が中央執行委員長であることが特段問題視されていなかったほか、組合が同人を代表者として団体交渉を行う立場にあることを疑うに足りる具体的な事情はないから、会社が団体交渉を拒否する正当な理由にはならない。
- 会社は、本件団体交渉申入れは、X3(現中央執行委員長)を中核とする恣意的な目的に基づく組合運営の一環としてなされたものであり、それ自体、権利濫用であるとも主張する。しかし、本件団体交渉申入れでの組合の要求事項は、義務的団体交渉事項に該当する。そして、当時、X3が配転訴訟で会社と争っていたという事情があったとしても、組合の要求事項が「X3の恣意的な目的」を具現化していると認めるに足りる具体的な事実の疎明はないから、会社の上記主張を採用することができない。
- 以上のとおり、会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
会社は、団体交渉に誠実に応ずるとともに、文書の掲示をすること。
参考
命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。
- 中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
- 東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)
問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6998 |