「新しい生活様式」での障害のある方の日常生活における困難な場面
Q15 Q14で「困難になっていると思う」を選択した方で、実際に見た方・聞いた方に伺います。
どのような場面で日常生活が困難になっていましたか。具体的にお書きください。
(n=122)
※本報告書では、「障害」の表記で統一しています。
※個人の特定につながりかねない記述は、書換え又は削除しています。
(1)コミュニケーションの場面
- 聴覚障害者にとって、マスクを通した言葉はより聞き取りにくく、コミュニケーションに支障がでている。
- 聴覚障害者の方が、マスクをしていることで相手の唇を読むことができず、筆記での対応しかなく、会話としても時間がかかり大変。
- 視覚障害者の方は、手で触ることがコミュニケーション手段だが、感染防止のために避けることを余儀なくされている。
(2)外出の場面
- 視覚障害者にとっては、ソーシャルディスタンスだと列の最後尾が分かりにくく、手引き誘導では相手の腕をつかむため距離感の関係ではばかられ、セルフレジの操作では弱視だとしても手間がかかる、といった事例がある。
- 友人に車いすの方がいます。コロナ禍でほとんどの外出予定が制限されました。以前はバスを利用して外出していましたが、車いすでバスに乗ることをためらい、控えたそうです。
- マスクをするのが辛い方が外出しづらいという話を聞きました。病院にも行きづらいと聞きました。
(3)支援の場面
- バスからの下車の時に降りられなくて困っているのに、接触を心配して手を差し伸べられない。
- 目の不自由な方に場所を聞かれても、ソーシャルディスタンスのため、手を差し伸べて案内することを躊躇してしまう。
- ソーシャルディスタンスのため、声を掛けてもらいにくい、と聞きました。
- 助けを求めている方が、マスクのせいで声を掛けづらそうにしていた。
(4)介護・介助の場面
- コロナ対応では、3密を避けることが求められるが、介護を要する障害者の場合、介護者との密接な接触抜きには必要なサービスが受けられない。
- 目の不自由な方の付き添いをさせていただいたが、お互い距離の確保が気になり、付き添いがし辛かった。病院や高齢者施設等で面会ができず、差し入れすら認められないため、QOLは下がったと思う。
- 本来、リハビリやデイケア等のサービスを定期的に受けていた人が、感染予防として行かなくなることによって、症状の悪化が起こっている。
(5)「新しい生活様式」への対応
- 私自身に呼吸器の障害があり、酸素吸入の装置を使っています。酸素を吸っていても外出時のマスクがとても苦しく、長い歩行が困難な状態です。また、マスク着用により常に呼吸が荒い状態なため、体温が上がってしまい、入店を拒否されたこともあります。
- マスクの事例だけに限っていうと、肢体不自由(特に手)の方は装着が難しい、聴覚障害者の方は「眼鏡・補聴器・マスク」の重さで耳に負担が掛かっている、読唇術に支障をきたしている。精神疾患の方や境界知能の方などは、マスクを着ける意味を理解できなかったり、突発的な奇声や動作により否が応でも視線を向けられる。等々、福祉の現場にいる方ならもっと出てくると思います。
- 福祉サービス第三者評価の仕事をしているが、就労支援障害施設のヒアリングで、職員が利用者はなかなかマスクをしたがらないのでバス等に乗るとき困っているとのことだった。
(6)雇用・就業の場面
- 話し声、開閉の音など、いつもの音がない。リモートワークは、ある意味、障害のある方を更に孤立させてしまう可能性がある。
- 障害者の送り迎えをしている人がコロナに感染してしまって、職場を休まざるを得なくなった。
(7)その他の場面
- 障害児の施設に入居しているお子さんに、ご両親が何か月も会えなくなってしまった、という精神面での困難。
- 発達障害を持つ子が幼稚園に通えず、より内向的になってしまった。
- 目の不自由な方が、社会生活が変わり、生活音も変わったため、行動に不自由をきたすようになった。