多摩動物公園

1.チンパンジーの人工授精に成功しました

多摩動物公園（園長　渡部浩文）では、遺伝的多様性を維持するために2016年から継続してチンパンジーの人工授精に取り組んできました。このたび、人工授精による妊娠が確認されましたので、お知らせします。

（1）人工授精を行ったチンパンジー

1）オス個体（精子提供個体）

• 名前
  デッキー
• 性別
  オス
• 年齢
  • 推定44歳

推定1978年生まれ（出生地不明）
1980年　長崎鼻パーキングガーデンに推定2歳で来園
2004年10月21日　多摩動物公園に受入

チンパンジー「デッキー」

2）メス個体（妊娠個体）

• 名前
  ミカン
• 性別
  メス
• 年齢
  • 26歳

2005年12月28日　多摩動物公園生まれ
妊娠歴なし

チンパンジー「ミカン」

（2）人工授精の取組と妊娠に至る経緯

「デッキー」は自然交配ができない個体であるため、当園ではこれまでに子孫を残していませんでした。国内のチンパンジーの遺伝的多様性を維持することを目的に、当園では2016年から継続して、デッキーを精子提供個体として人工授精に取り組んできました。
2021年10月20日に、トレーニング下で採取したデッキーの精液を用い、麻酔下で「ミカン」への人工授精を行いました。2021年11月10日にヒト用の妊娠検査薬が初めて陽性を示し、その後も継続して検査を行った結果、妊娠が確定しました。
なお、動物への影響を考慮し、超音波画像検査（エコー検査）などの検査は実施していません。

（3）出産予定日

妊娠期間は227～239日と報告されていることから、人工授精実施日を0日とすると出産は2022年5月末～6月中旬になる予定です。
※繁殖について
チンパンジーのメスは10～13歳で性成熟をします。初産年齢は野生で13歳前後です。発情周期は平均36日です。基本的には1産1仔、たまに双仔を産みます。仔は2キログラム前後の体重で生まれ、離乳は4～5歳です。親の出産間隔は、平均で4.6～7.2年です。

（4）当園の飼育状況（2022年2月24日現在）

19頭（オス6、メス13）

（5）国内の飼育状況（2020年12月31日現在）

日本国内の飼育状況：48園　303頭（オス131、メス172）
資料：2020年チンパンジー国内血統登録台帳【（公社）日本動物園水族館協会】

参考

チンパンジー（霊長目　ヒト科）
（ワシントン条約附属書1、IUCNレッドリスト：EN（絶滅危惧1B類）、東京都ズーストック種）

• 学名
  Pan troglodytes
• 英名
  Chimpanzee
• 分布
  アフリカの熱帯雨林から疎開林
• 生態等
  頭胴長は63.5～90センチメートルで、体重はオスが40～60キログラム、メスが32～47キログラム。果実、葉や種子を中心に昆虫、小型の哺乳類など、いろいろなものを食べます。群れをつくり、エサを探して広い範囲を移動しながら樹上や地上で生活します。寿命は40年から45年程度といわれています。

※「附属書1」「1B類」の数字の正しい表記はローマ数字です。

ご案内

【多摩動物公園】※当面の間、臨時休園します。

• 開園時間
  9時30分～17時00分（入園は16時00分まで）
• 休園日
  毎週水曜日（祝日のときは、翌日）
• 入園料
  一般：600円、65歳以上：300円、中学生：200円
  ※小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料

※最新の動物に関するお知らせ等は多摩動物公園公式ホームページ（外部サイトへリンク）でもご覧いただけます。

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