2023年11月09日
福祉局, 保健医療局
滝山病院における改善計画の取組状況及び更なる改善に向けた指導の実施について
都は本年4月25日に医療法人社団孝山会滝山病院に対して医療法及び精神保健福祉法に基づく改善命令を発出した後、立入検査等を通じ、滝山病院における改善計画の取組状況の確認を続けてきました。この間に確認できた状況を踏まえ、滝山病院における改善に向けた取組をさらに実効性のあるものとするため、本日、以下のとおり滝山病院に対して指導を実施しましたので、お知らせします。
1 滝山病院における取組状況
都が確認した事実は以下の通り。(令和5年11月6日現在)
(1)虐待防止委員会の設置
- 1)外部の第三者を委員とする虐待防止委員会(委員長:伊井和彦弁護士)が設置され、6月以降これまでに、計5回開催されている。
- 2)虐待防止委員会では、改善計画の取組状況の確認、虐待防止・対応マニュアルの内容検討、院内組織体制のあり方などについて、議論が進められている。
- 3)入院患者への虐待行為が行われた原因等についての検証結果や、再発防止策等について今後報告がなされる予定である。
(2)虐待防止・対応マニュアルの整備
虐待防止委員会での議論を経て、虐待の定義や分類など基本的な事項について記載した虐待防止・対応マニュアルを8月中に作成し、9月に各部署に配布し備え付けられている。
(3)人権擁護及び虐待等不適切行為の防止に係る研修の実施
6月19日に虐待防止委員会の委員でもある日本精神科看護協会業務執行理事を講師として非常勤職員を含めた全職員224人を対象に研修を実施した。
研修当日は74人が受講するとともに、当日受講できなかった職員はオンデマンド配信により受講し、8月時点で在職している全職員の受講が完了した。11月6日には、全職員を対象にフォローアップ研修を実施した。
(4)通報先の院内掲示及び職員、患者への周知
東京都精神保健医療課及び医療安全課の連絡先について、各病棟に設置している公衆電話前及び看護師勤務室前に掲示している。
(5)院内で上司等に報告・相談しやすい体制の整備
- 1)虐待やコンプライアンス違反が疑われる行為については、職員専用の内部通報ツールから、報告・相談を受け付け、虐待防止委員会及び医療安全委員会に報告する仕組を導入した。なお、11月6日時点で相談件数が少なく、虐待に関する報告はされていない。
- 2)職員が相談しやすいように外部組織(弁護士、社会保険労務士)による相談窓口設置の準備を進めているが、現時点では未開設である。
(6)院内の情報連携がスムーズに行える体制整備
メーリングリスト(LINE)により、院長が職員へ連絡すべき内容を配信する取組をしており、院内の研修案内など主に事務的な内容の周知に活用している。
(7)患者からの虐待に関する相談に対応する体制整備
3人の担当相談員が、全ての患者から個別に聞き取りを行うことを6月から開始し、これまでに5回実施している。聞き取った内容については、病棟師長等と共有し対応を行っている。なお、11月6日時点で虐待に関する相談はされていない。
(8)患者に対する不適切な処遇に対する虐待防止委員会等への報告等
院内で虐待が疑われる行為等、不適切な処遇が確認された時には、虐待防止委員会及び医療安全委員会を開催し、事実の確認や再発防止策の立案等を行う体制を整備している。なお、11月6日時点で不適切な支援が疑われる事例5件の報告があり、これまで虐待とされたものはない。
2 更なる改善指導について
今後、滝山病院が自律的に、より実効性の高い取組を進めていくよう、以下のとおり行政手続法第2条第6号に規定する行政指導を行った。
(1)改善に向けた取組の実効性の確保
- 虐待防止委員会の検証結果等報告後も、外部の第三者を委員に入れた虐待防止委員会を継続的に設置し、病院として自律的に虐待防止に向けた取組を進めていくこと。また、虐待防止委員会での検討内容については、広く職員に周知すること。
- 虐待防止・対応マニュアルについては、虐待と疑われる事例が発生した際に、職員が職層に応じてどう行動すべきか理解できるようにするなど、実践的な内容にしていくこと。
- 虐待防止研修については、年度途中に採用された職員も含め職員が受講しやすいよう複数回実施するなど研修の機会をより確保するとともに、職員の理解が進むような効果的な研修内容を検討すること。
- 患者からの相談に内部の職員のみが対応しており、患者が相談しづらいことが考えられるため、より相談しやすい仕組みとなるよう、外部の第三者による体制も整備すること。
- 職員からの相談に対応する体制について、現時点で相談件数が少ないことを踏まえ、職員にとって相談しやすい仕組みとなっているかを検証し、機能させるものとすること。外部の相談窓口については、早急に開設すること。
(2)虐待を起こさないための組織風土の醸成
- 虐待防止に向けた病院の方針や取組等について、非常勤職員も含めた全職員に周知・徹底すること。
- 虐待防止に向けた自律的な取組を推進していくための組織体制の整備や、職員が相談、報告しやすい風通しの良い組織づくりに向けて、院長がリーダーシップを発揮して取り組んでいくこと。
- 虐待以外の違法な行為の防止についても、院内でのチェック機能を働かせる等、病院のコンプライアンス確保のために必要な取組を行う体制を整備すること。
3 改善計画(改定版)の提出について
上記2の指導事項と、今後、虐待防止委員会から報告される検証結果等を踏まえ、病院として必要な対応策を検討した上で現在の改善計画について見直しを行い、虐待防止委員会からの報告後、概ね1か月以内に「改善計画(改定版)」として、文書により都へ提出すること。
問い合わせ先
(精神保健福祉法について)
福祉局障害者施策推進部精神保健医療課
電話 03-5320-4462
(医療法について)
保健医療局医療政策部医療安全課
電話 03-5320-4432
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