2024年03月06日
労働委員会事務局
P事件命令書交付について
当委員会は、3月6日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙(PDF:219KB))。
1 当事者
申立人
X1(個人)(東京都足立区)
被申立人
Y1(東京都渋谷区)
被申立人
Y2(東京都江東区)
2 争点
- (1)申立外X2組合(以下「組合」という。)の平成31年4月9日付けの団体交渉申入れに対するY1(以下「Y1」という。)の対応は、組合運営に対する支配介入に当たるか否か。(争点1)
- (2)Y1が、X1を令和元年5月6日をもって雇止めとしたことは、組合運営に対する支配介入に当たるか否か。(争点2)
- (3)令和元年5月24日、8月7日、10月9日及び2年1月22日の団体交渉におけるY1の対応は、組合運営に対する支配介入に当たるか否か。(争点3)
- (4)X1に対する、Y1の以下の対応は、下記アは組合運営に対する支配介入に、下記イ及びウは組合員であるが故の不利益取扱い又は組合運営に対する支配介入に、それぞれ当たるか否か。(争点4)
- ア 平成31年4月22日の始業前における対応
- イ 4月24日に確約書の提出を求めたこと。
- ウ 4月26日に雇止め理由書を送付したこと。
- (5)Y1は、X1の取扱いに関して厚生労働省東京労働局(以下「東京労働局」という。)及び渋谷労働基準監督署(以下「渋谷労基署」という。)から行政指導を受け、それに従わなかったと認められるか。認められる場合、そのことは、X1が2不41号事件を申し立てたことを理由とする不利益取扱いに当たるか否か。(争点5)
- (6)Y2は、本件において、労組法上の使用者に当たるか否か。(争点6)
労組法上の使用者に当たる場合、
- 1)Y2が、平成31年4月9日付けにて組合から申し入れられた団体交渉に応じなかったことは、組合運営に対する支配介入に当たるか否か。(争点6-1)
- 2)令和元年5月29日及び同年12月26日の組合とY2との話合いにおける同社の対応は、組合運営に対する支配介入に当たるか否か。(争点6-2)
- 3)X1に対するY2の以下の対応は、ア及びウは組合運営に対する支配介入に、イ及びエは組合員であるが故の不利益取扱い又は組合運営に対する支配介入に、それぞれ当たるか否か。(争点6-3)
- ア 平成31年4月22日の始業前における対応
- イ 4月23日の職場における対応
- ウ 4月23日の電話連絡における対応
- エ 4月23日の本件定時前退社に関するY1への報告
- 4)X1の令和元年5月6日付け雇止めは、Y2の行為といえるか。いえる場合、そのことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか否か。(争点6-4)
- 5)X1がY2に残留私物の返却及び勤怠表の写しの交付を求めたことに対し、同社が残留私物はないと回答して、4不80号事件申立時までに返却していないこと、及び同社が、4不80号事件申立時までに、勤怠表の写しを同人に交付していないことは、同人が2不41号事件を申し立てたことを理由とする不利益取扱いに当たるか否か。(争点6-5)
- 6)X1がY2又は外部のコンプライアンス窓口に連絡したことに対し、4不80号事件申立時までに、同社が同人に回答していないことは、同人が2年不41号事件を申し立てたことを理由とする不利益取扱いに当たるか否か。(争点6-6)
- 7)Y2は、X1の取扱いに関して、東京労働局から行政指導を受け、それに従わなかったと認められるか。認められる場合、そのことは、X1が2不41号事件を申し立てたことを理由とする不利益取扱いに当たるか否か。(争点6-7)
- (7)本件調査手続終了時までにX1が組合から脱退している本件において、支配介入に係る救済の利益が存在するか。(争点7)
3 命令の概要<却下・棄却>
- (1)争点1について
Y1の対応により団体交渉の実質が損なわれたなどと評価することはできず、組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
- (2)争点2について
Y1が組合の弱体化を意図してX1を雇止めとしたとみることはできず、組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
- (3)争点3について
Y1が団体交渉を無意味化させる対応を行ったなどとは評価できず、Y1の対応は組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
- (4)争点4について
- ア 平成31年4月22日の始業前におけるY1の対応についての申立ては、申立期間を徒過した不適法なものとして却下を免れない。
- イ Y1がX1に確約書の提出を求めたことは、業務上の改善指導としてX1に自省を促し、派遣契約の履行を担保しようとしたもとみるのが相当であり、組合員であるが故の不利益取扱い又は組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
- ウ Y1がX1に雇止め理由書を送付したことは、X1に不利益な取扱いであるとも、反組合な行為であるとも評価できず、組合員であるが故の不利益取扱い又は組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。
- (5)争点5について
X1が2不41号事件を申立てたことと、行政指導に対するY1の対応との間に因果関係を認めることはできず、報復的不利益取扱いに当たるとはいえない。
- (6)争点6について
Y2は、部分的であっても、X1の基本的な労働条件等を雇用主と同視できる程度に、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるとはいえず、X1又は組合との関係において、労組法上の使用者に当たるとはいえない。そうすると、その余を判断するまでもなく、争点6-1ないし争点6-7におけるY2の行為が不当労働行為に当たるとはいえない。
- (7)争点7について
本件申立ての各事実が組合運営に対する支配介入に当たるといえないことは、上記判断のとおりであるから、争点7は判断を要しない。
参考
命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。
- 中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
- 東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)
問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6990 |