〔別紙1〕
令和5年度 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価結果
東京都が設立した地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(以下「法人」という。)の令和5年度業務実績評価について、お知らせいたします。
1 評価制度の概要
- 知事は、法人の各事業年度の業務実績について、地方独立行政法人法第28条及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例第2条の規定に基づき、附属機関である東京都地方独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)の意見を聴いたうえで、評価を行うこととなっています。
- 評価委員会は、大野高裕氏(早稲田大学理工学術院創造理工学部教授)を委員長とし、計24名の外部有識者で構成されています。当法人については、鈴木哲也氏(慶應義塾大学理工学部機械工学科教授)を分科会長とする試験研究分科会に意見を聴いています。
2 評価方針と手順
- 知事が定め法人に指示した5年間の中期目標の達成に向け、法人が作成した中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善・向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しました。
3 評価結果の概要
- 評価は、「項目別評価」と「全体評価」とで実施しました。
- 項目別評価は、「技術相談」「依頼試験、機器利用」「基盤研究」など、令和5年度計画の計20項目について、事業の進捗状況・成果を5段階で評価しました。
- 全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の進行状況全体について「優れた業務の進捗状況にある」と評価しました。
(1)項目別評価(20項目)
- 評定S(年度計画を大幅に上回って実施している)…2項目
外部資金導入研究・調査、新産業創出支援
- 評定A(年度計画を上回って実施している)…9項目
依頼試験・機器利用、基盤研究、共同研究、知的財産、社会的課題解決支援、製品開発支援ラボ等、海外展開、産業人材の育成、情報発信の推進
- 評定B(年度計画を概ね順調に実施している)…9項目
技術相談、オーダーメード型技術支援、オープンイノベーション、支所における支援、食品産業への支援等
- 評定C(年度計画を十分に実施できていない)…なし
- 評定D(業務の大幅な見直し、改善が必要である)…なし
(2)全体評価
ア 総評
中期計画の達成に向け、「優れた業務の進捗状況にある」
高く評価すべき事項
- 研究開発と技術支援の両面で様々な事業を展開し、第四期中期計画(令和3年度~令和7年度)の目標値に向けて着実に実績を積み重ねるとともに、中小企業の製品化等に貢献しており評価できる。
- 中小企業等との共同研究では、法人と中小企業等が持つ技術とノウハウの融合を通じ、企業の製品化・事業化を積極的に支援し、中期計画目標の達成に向けて順調に実績を積み重ねている。また、外部資金導入研究では、高水準の採択件数及び獲得金額を達成していることは、高く評価できる。
- DX推進センターを拠点として、ローカル5Gを活用したインフラ点検ロボットなどの製品開発に大きく貢献したほか、成長産業である航空機部品の特殊な加工方法の開発支援や、サービスロボットの性能評価試験方法がJIS規格に採用されるなど、幅広い事業効果の創出に至ったことも高く評価できる。
改善・充実を求める事項
- 公益財団法人東京都中小企業振興公社など、他の中小企業支援機関との連携を強化することで、法人のプレゼンス向上や、様々な支援事業の充実につなげることを期待する。
- 業務のDXを更に推進し、より効率的な業務運営のみならず、データの利活用等による中小企業支援の質の向上に資する取組を進めていくことが望まれる。
イ 研究開発、技術支援及び法人の業務運営等について
- 製品化・事業化を目的として、計32テーマの共同研究を実施した。製品化・事業化の件数は、過去最高となる19件で、ハンディキャップをもつ子供向けにデザインされたストロー補助具の製品化に寄与するなどの成果を上げている。
- 中期計画目標の達成に向けて、外部資金導入研究の採択件数は堅調に推移している。積極的な提案公募型研究への応募、研究員への指導や研修の見直し等の採択率向上に向けた取組により、前年度を上回る新規採択につながった。また、歳入総額は、前年度に引き続き、高水準の金額を獲得しており、高く評価できる。
- 5G・IoT・ロボット普及促進では、桟橋点検支援ロボットの開発を支援するとともに、サービスロボットの衝撃吸収に関する性能評価試験方法がJIS規格に採用された。また、航空機産業参入支援においては、特殊な加工方法を共同研究により開発するなど、航空機部品開発に対する支援を着実に行った。ものづくりベンチャー等に対しては、試作・技術支援、投資家視点のコンテストを引き続き実施するとともに、前年度採択者の事業化支援にも取り組んだ。成長が期待される分野における中小企業やものづくりベンチャー等の新技術・新製品の開発を後押ししたことに加え、規格の標準化という幅広い事業効果の創出にもつながったことは、高く評価できる。
- 社会的課題の解決に向けて、ヘルスケア産業支援室において、実験室の整備や試験設備の導入等により支援体制を強化するとともに、機器利用が前年度実績を上回るなど、中小企業への支援を着実に実施している。障害者用具等の製品開発においては、障害者スポーツ用具開発で得られた知見を活用し、障害者等の日常の活発な活動を支える製品の開発支援を実施している。また、サーキュラーエコノミーの実現に向け、参入可能な領域を示すナビゲーションマップの作成やセミナーの開催により、中小企業の循環経済事業への参入を支援している。
※別添 令和5年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価書(PDF:5,248KB)