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2018年11月05日 労働委員会事務局
〔別紙〕
X2は、平成27年4月に会社と期間1年の雇用契約を締結し、1回目の契約更新後の28年4月以降は神奈川県立のM高校及びI高校において、外国語指導助手として週3日働いていた。
28年8月4日、会社は、X2に対し、ビザが切れるから身元保証人になってほしいなどの個人的な相談をM高校教員にしたことなどを理由として、30日後の9月3日付けで解雇する旨をメールで通知した。9月3日、会社は、X2との雇用契約を解除した。
29年3月5日、X2は組合に加入し、組合は、会社に対し、X2の解雇及び未払賃金に係る団体交渉をメールで申し入れた。以降、組合と会社とは、3月から6月までの間に団体交渉開催条件についてメールを計7回やり取りしたが、会社は、雇用契約書の条項に基づき、開催場所を水戸本社とするとして一切譲らず、結局、団体交渉は行われなかった。
本件は、X2の解雇及び未払賃金を議題とする組合の団体交渉申入れに対し、会社が、X2との雇用契約書の条項に基づき開催場所は水戸本社であると主張して一切譲らず、団体交渉に応じていないことが、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるか否かが争われた事案である。
会社は、組合が、同組合の組合員X2の解雇及び未払賃金についての団体交渉を申し入れたときは、開催場所を会社の水戸本社とすることに固執することなく、開催場所の合意に向けて誠実に交渉しなければならない。
開催場所をどこにするかは、本来労使間の話合いによって決めるべきものであるところ、会社が開催場所は水戸本社であると限定し、東京支社や組合事務所などの検討を求める組合の要請に応じていないため、結局、団体交渉は開催されていない。
X2と会社との紛争に関する雇用契約書の条項は、X2が加入する労働組合を直接拘束するものではないし、まして、組合と会社との団体交渉をどこで行うかということの根拠となるものでもない。また、組合にとって、遠隔地である水戸市で団体交渉を行うことが、経済的にも時間的にも負担であるのは明らかであり、組合は、組合事務所所在地である東京都内に固執しているわけではない。組合がX2の勤務地である横浜支社での開催も含めて提案していたにもかかわらず、会社が紛争手続の合意地である水戸本社での開催を一切譲らないのは、正当な理由のない団体交渉の拒否であると判断せざるを得ない。
本件労使間において団体交渉が一度も開催されていない原因は、開催日時が折り合わなかったことにはなく、開催場所が折り合わなかったことにあった。こうした状況にもかかわらず、組合が開催場所を検討するよう会社に要請するなどした後も、会社は、開催場所は水戸本社であるとしたのであるから、会社の対応が団体交渉開催に協力的な対応であったとみることはできない。
以上のことから、会社が団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる。
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