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平成29年(2017年)12月1日更新
平成29年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
10月6日、名誉都民である木彫刻師、岸本忠雄さんが逝去されました。また、10月24日、同じく名誉都民である染織家、小宮康孝さんが逝去されました。ここに謹みまして追悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りをいたします。
まず、このたびの総選挙に当たりまして、私自身の行動により、多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけをいたしました。自らを厳しく省み、改めて都民第一、都民ファーストの姿勢で、都政に専念いたしたく、ご指導、ご協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
激動する世界の流れに、東京が追いつけるか。少子高齢化が急速に進み、かつてない危機が見込まれる中、東京は改革のスピードを上げていかねばなりません。
平成27年国勢調査では、全国の人口は1億2709万人と、前回から約96万人減少し、調査開始以降初めての減少となりました。東京の人口さえも、団塊世代が全て75歳以上となる2025年の1398万人をピークとして、減少に転じる見込みであります。そして、国の推計では、我が国の人口が現在のペースで減り続け、生産性の改革も進まなければ、2040年代には経済のマイナス成長が定着するとされております。
こうした中、従来の延長線上の政治を繰り返していては、東京と日本の明るい未来を切り拓くことは叶いません。労働生産性は、先進7か国の中で最も低い。女性活躍も期待どおりには進まず、世界経済フォーラムが各国の男女平等の度合いを示したランキングは、昨年からさらに後退をいたしました。我が国がこうした現状を打ち破り、人口減少の中にあっても成長の軌道を描いていくためには、日本経済のエンジンである東京が改革を加速し、日本全体を牽引しなければならないのであります。
ところが国は、「東京対地方」の構図を徒に煽り、東京の成長力、ひいては日本の国際競争力を削ぐことになりかねない動きを見せております。23区の大学の定員増や、学部等の新増設の抑制は、ただでさえ地盤沈下が激しい日本の大学の国際的地位を低下させるだけであります。
また、地方消費税の清算基準の見直しは、税収を最終消費地に帰属させるという本来の趣旨を歪め、地方が抱える巨額の財源不足を、日本の経済成長を支える東京などの地域に穴埋めさせるものに他なりません。東京の貴重な財源を守るため、まずは先月、愛知県、大阪府、都内自治体と共に、地方税を所管する野田総務大臣への要請を行ってまいりました。また、国の主張の問題点や都の考え方を反論書として取りまとめ、国会議員の方々にも都の訴えを後押ししていただくよう、幅広く働きかけを進めております。引き続き、私自身、関係する国会議員と面会をし、要請を行うなど、積極的に行動してまいります。国が果たすべき役割を東京に押し付け、東京から財源を不当に収奪することで都民生活を脅かす不合理な措置に対し、都議会の皆様や区市町村等と力を合わせて、あらゆる機会を捉えて強く反論をしてまいります。
東京の持続的な成長が、日本の経済成長を牽引する原動力となる。そうした確信の下、私はこれまで、都政の体質を変えるべく情報公開を徹底しながら、大胆な待機児童対策、都市間競争を勝ち抜く成長戦略の展開、2020年大会を契機としたさらなる成熟都市への取組をはじめ、幅広く力を尽くしてまいりました。今後も、東京に課せられた使命を肝に銘じながら、都民ファーストを基本に「東京大改革」を推し進めてまいります。そして、情報公開や賢い支出を手段とし、安全・安心な「セーフシティ」、誰もが活躍できる「ダイバーシティ」、成長を生み出す「スマート シティ」の3つのシティを実現してまいります。
現在進めている予算編成につきましては、昨年度、いわゆる政党復活予算を廃止し、各種団体からの意見を公開の場で伺うヒアリングを開始をいたしました。今年度は、昨年度より1か月以上前倒しをしてヒアリングを行い、早い段階から現場の声に耳を傾けるとともに、改革の第二弾として、都民の皆様や意欲溢れる職員からの提案を施策形成に活かす取組を進めております。都民の新しい発想や、職員が現場で積み重ねてきた知識と経験を積極的に取り入れる新たな手法で、喫緊の課題の解決に向けた政策を練り上げてまいります。
また、都政改革本部におきましては、各局の主要事業について、予算、人員、成果などを分かりやすく明示し、政策の見直しや刷新、執行の効率化、民間や監理団体との役割分担等を検討する「見える化改革」を、精力的に進めております。先日の本部会議では、8局から、それぞれの事業を客観的なデータなどにより分析した結果の報告がございました。今月の本部会議におきましても、多くの局から報告を受ける予定でございます。今後は、各局において普段から「見える化改革」の手法を活かして、事業のあり方について戦略的な検討を行ってまいります。さらに、監理団体のあり方、人材育成、働き方改革による人事制度の見直し等にも取り組んでおり、年度末までの本部会議で議論する予定としております。
こうした改革と並行して、「人が生きる、人が輝く東京」を目指した重点政策方針に基づいて、超高齢社会への対応、保育サービスの質と量の充実など、「人」に焦点を当てた施策を力強く展開をいたします。その先に、誰もが輝く「新しい東京」を実現するため、汗をかいてまいります。
誰もがいきいきと活躍できる「ダイバーシティ」を実現し、都民一人ひとりの活力を高めることは、東京に持続的な成長をもたらす大前提であります。これより、「人」が輝くために重点的に展開していく施策について、申し述べてまいります。
高齢者の方々が、地域で安心して暮らしながら、いつまでも意欲旺盛に活躍できる社会をいかに実現するか。「超高齢社会」に突入し、2025年には団塊世代が全て75歳以上となる東京にとりまして、待ったなしの問題であります。
先月立ち上げた「超高齢社会における東京のあり方懇談会」では、各分野の有識者の皆様に、生涯現役での社会参加、多世代交流の促進、先端技術の活用など、人生100年時代の社会のあり方を幅広く検討いただいております。その成果は、可能なものから来年度予算案に反映させるとともに、来年8月を目途に政策提言としてまとめていただく予定であります。世界に例を見ない速度で高齢化が進む東京から、これからの先進的な地域モデルを、国内外に発信してまいりたいと思います。
一方で、次代を担う子供一人ひとりが健やかに成長できる社会の確立も進めてまいります。その道筋を示す「子供・子育て支援総合計画」につきましては、計画期間の中間年となる今年度、これまでの施策の成果や社会状況の変化等を踏まえた見直しを行います。
具体的には、貧困の世代間連鎖を断ち切り、全ての子供が夢に向かって輝ける社会の実現に向けて、総合的な子供の貧困対策を盛り込んでまいります。また、子育て世帯を対象とした保育ニーズ実態調査の結果等を踏まえ、保育サービスの整備目標を検証するなど、この計画を、待機児童の解消に向けた確かな羅針盤としていきたいと思います。
すでに、来年4月からの保育施設への入園申込みも始まっております。待機児童対策については、就任以来、矢継ぎ早に大型の施策を展開して、保育施設の定員は、1年間で2万人を超える過去最大の増加を実現いたしました。今年度も引き続き定員増加に最大限努め、社会で活躍する女性の不安を解消するだけでなく、女性の活力を社会に活かせる環境づくりに努めます。
大いなる可能性を秘める子供たちは、東京が未来へ羽ばたく原動力であります。今月14日には、東京を担う人材育成に取り組む都立高校の現状と課題をテーマとして、知事と教育委員会の協議の場であります、今年度2回目の総合教育会議を開催をいたします。特色ある取組を進める4校の校長にも参加いただいて、人材育成に向けた教育のあり方などについて、教育委員の皆様と共に議論を深めてまいります。ここでの議論は、来年度に策定を予定いたしております都立高校改革の次期実施計画に反映させ、都立高校のさらなる発展に活かしていきたいと思います。
学校現場の課題の複雑化や、教育内容の一層の充実等を背景に、教員の長時間勤務が常態化しております。教員が心身共に健康で、誇りとやりがいを持って職務に従事できるよう、先月、「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」の中間まとめを発表いたしました。教員を支える体制の確保や部活動の負担軽減など、5つの方向性を打ち出して、保護者や地域社会の理解も図っていくことといたしております。都民の意見を踏まえて来年2月にプランを公表して、教育委員会や区市町村と連携しながら、教育の質の維持向上に繋げてまいります。
柔軟な働き方を可能とするテレワークは、生産性の向上や、女性・高齢者の活躍推進に向けた起爆剤でございます。都内企業におけるテレワーク導入をさらに加速するため、昨日、約7万8千の会員企業等を有する東京商工会議所の三村会頭と、働き方改革の推進に向けた協定を締結をいたしました。多摩地域を含め、都内の商工団体とも連携しながら、都が進める「時差ビズ」や「働き方改革宣言企業制度」と併せて、テレワークの普及に取り組んでまいります。
都庁における働き方改革も着実に進展しております。10月からは、翌日の勤務開始まで一定時間を空けることを義務付ける「勤務間インターバル」や、「土日連続勤務の禁止」の試行を始めたところであります。弾力的に勤務時間を設定できるフレックスタイム制についても、来年4月からの本格導入に向け、本定例会に条例の改正案を提案しております。先日、「都庁働き方改革」宣言を行った私自身をはじめ特別職・全局長がリーダーシップを発揮して、生産性の高い職場環境を実現することで、都庁から、東京・日本の働き方を変えてまいります。
安全・安心に暮らせる社会は、都民の活力の基盤であります。震災への備え、治安向上、テロ対策をはじめ、「セーフシティ」を実現する取組を幅広く進めてまいります。
益々、激甚化する自然災害に対しては、災害即応対策本部の設置や区市町村との緊密な連携等により、的確な対応を行ってまいりました。台風に伴う大雨や高潮については、都内各所の調節池や、防潮堤・水門が大いに効果を発揮しております。引き続き、ハード面の整備や、関係機関と連携した迅速な情報収集・発信等によりまして、自然災害の脅威から都民の生命と財産をしっかり守ってまいります。
震災時の道路閉塞を防ぐ無電柱化につきましては、11月10日の「無電柱化の日」に啓発イベントを開催し、その意義や課題を多くの皆様と共有をいたしました。引き続き都民の共感を広げながら、コスト縮減に繋がる技術開発等に取り組んでまいります。また、年度内には国の動きも踏まえ、基本方針や整備目標を定めた新たな計画を策定をし、電柱のない安全・快適な街並みを都内全域に着実に広げていきたいと思います。
悪質商法をはじめとする消費者被害は、未だ後を絶ちません。超高齢化や電子商取引の増加など、社会の変化にも的確に対応するべく、先月、新たな「消費生活基本計画」の素案を公表いたしました。人、社会、環境に配慮した「エシカル消費」の理解の促進や、成年年齢引下げを見据えた若年層への消費者教育の充実など、時代に即した取組を盛り込んでおります。年度末を目途に計画を策定し、情報発信にも工夫を凝らして、消費者である都民の安全・安心を確保してまいります。
子供たちを取り巻く脅威も見過ごせません。いわゆる「自画撮り被害」の防止に向け、本定例会に「青少年の健全な育成に関する条例」の改正案を提案いたしました。被害防止に向けた普及啓発の推進を都の責務とするとともに、青少年に対し画像の提供を不当に求める行為を、罰則をもって禁ずるものであります。条例に基づく規制によりまして青少年を確実に守り、子供たちを健全に育む社会の実現をさらに加速してまいります。
世界の都市間競争に打ち勝つ。都民の皆様が好景気を実感できる。そのための成長を生み続ける「スマート シティ」の実現に向けて、都民の大いなる活力を土台に、成長戦略を力強く展開してまいります。
アジア・ナンバーワンの国際金融都市の地位を取り戻す。その道のりを確実に歩むべく、先月、「東京版金融ビッグバン」とも言うべき新たな構想を発表いたしました。官民一体の金融プロモーション組織の設立や、新興資産運用業者の育成プログラムの導入など、日本初となるものも含めた具体的な取組を打ち出しております。来週には、伝統ある金融街、シティ・オブ・ロンドンと、金融分野で交流・協力を深めるための合意書を締結するなど、国内外の関係者や、国、民間事業者等とも連携しながら、これらの取組を迅速かつ果敢に進めてまいります。
先日のシンガポール出張では、この構想に基づく東京の取組を広くアピールをしてまいりました。併せて、国際金融センターとしてアジアを牽引するシンガポールの現状を目の当たりにし、リー・シェンロン首相や閣僚と幅広く意見交換を行うことで、国際競争のスピードを改めて実感をいたしました。その中で、我が国が世界をリードしていくため、東京は金融分野で日本を伸ばす先兵となる。その決意新たに、今回の出張の成果を、世界に冠たる国際金融都市の実現に活かしていきたいと存じます。
都内の産業力の源泉である中小企業のポテンシャルを大きく引き出し、東京の持続可能な成長の基盤を強化してまいります。先月の産業交流展では、革新的な製品やサービスを生み出した32の中小企業を表彰いたしました。世界に発信できる技術や発想を持つ中小企業が、都内に数多く存在すること、改めて頼もしく感じたところであります。
併せて、中小企業における女性の活躍をしっかりと応援するために、昨年度に続きまして3名の女性の経営者に特別賞を贈呈をいたしました。中小企業やそこで働く女性の意欲を一層高め、優れた製品・サービスの開発を後押しするとともに、広く国内外への販路拡大を目指してまいります。
地域経済の象徴である商店街を元気にしていくことも重要であります。商店街での開業を目指す若者や女性が、店舗運営や販売を通じてノウハウを蓄積できる「チャレンジショップ」を、今月末に自由が丘に開設をいたします。これまでにない新たな発想で多彩な商品やサービスを生み出す、意欲的な担い手を支援し、商店街のさらなる活性化に繋げていきたいと存じます。
先月のCOP23では、2020年からの温暖化対策の枠組みとなるパリ協定について、ルールづくりを加速する合意がなされました。世界の都市や企業におきましても脱炭素社会に向けた気運が高まる中、地球環境と調和して持続的な成長を目指す東京も、行動を力強く推進をいたします。
10月、パリで開催された世界大都市気候先導グループ「C40」の会合は、エネルギーの大消費地である各都市が、気候変動対策に関する制度や経験を共有する有意義な機会でございました。私はその場で、オフィスビル等も含めてCO2削減を義務付ける世界初の都市型キャップアンドトレード制度をアピールし、この制度の一つの成果となる「東京ゼロカーボン4デイズin2020」の実施を発表いたしました。オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式の計4日間におきまして、事業者が持つCO2の超過削減量を活用して「オフセット」を実施し、都内のCO2排出量をゼロとする取組であります。都として省エネルギー対策をさらに推進するとともに、多くの事業者から協力をいただいて「ゼロ・カーボンデイ」を実現できることで、CO2を排出しないゼロエミッション都市を官民一体で目指す東京の姿を、世界に強く印象づけてまいります。
急速な経済成長を続けるアジアの大都市では、廃棄物や大気汚染の問題が共通の環境課題であります。そこで、欧米の先進都市も交えて政策や英知を共有し、解決策を議論する都主催の環境国際会議を、来年5月に開催をいたします。国際的に活躍する有識者を基調講演者に迎えて、C40の加盟都市にも参加を呼びかけることで、国内外への訴求力、発信力を高め、世界における環境対策の推進に積極的に貢献してまいります。
東京の都市機能をさらに高めるため、ICT活用の今後の展開を示す「ICT戦略(仮称)」の策定を進めております。日進月歩で進化するICTをツールとして、災害対応力の向上、高齢者や障がい者にもっと優しいまちの実現、成長力の強化など、3つのシティの姿のさらなる進化を目指したいと思います。今月末を目途に戦略を公表して、ICTの大きな可能性を「新しい東京」づくりに最大限に活かしてまいります。
持続的な成長を生み、活力に溢れる拠点を形成する。人・モノ・情報の自由自在な交流を実現する。「都市づくりのグランドデザイン」に掲げたこれらの戦略は、まさに東京の重要な成長戦略であります。この実現に向けて、都市計画の基本的方針であります「マスタープラン」の改定の検討を進めて、来年早々には東京の土地利用のあり方について都市計画審議会に諮問するなど、具体的な取組を開始いたします。持続的に発展する高度成熟都市を目指して、次世代への想いも込めながら、一つひとつのステップを重ねてまいります。
また、人やモノの活発な交流の基盤となる道路ネットワークにつきましては、渋滞解消や災害時の首都機能の維持など、多岐にわたる効果を発揮する首都圏三環状道路の整備に重点的に取り組んでまいります。併せまして、区部放射・環状道路や多摩南北・東西道路など、骨格幹線道路の整備も推進をして、新たな価値と活力を生み続ける東京を創り上げてまいります。
一方で、都市づくりにおける適正な環境配慮は、子や孫の世代に良好な都市環境を引き継ぐためには欠かせません。大規模な開発事業等について、周辺環境への影響を抑える手続きである環境影響評価制度は、創設から37年が経過し、更新期を迎える建物等の増加も見込まれるなど、取り巻く状況は変化いたしております。引き続き適切で分かりやすい運用を行うために、「環境影響評価条例」の改正を含めた制度の見直しにつきまして、今月、審議会に諮問し、検討を進めてまいります。
先日のパリ出張では、アンヌ・イダルゴ・パリ市長、エリック・ガルセッティ・ロサンゼルス市長と面会をして、東京に続くオリンピック・パラリンピック開催都市の長と連携を深める貴重な機会となりました。持続可能な大会のバトンをしっかりと引き継ぐべく、組織委員会、国、全国の自治体等とオールジャパンで緊密に連携しながら、残り1千日を切った大会までの一日一日を大切に積み重ねたいと思います。
先週、大会会場となります新たな競技施設の第一号として「武蔵野の森総合スポーツプラザ」が開業をし、オープニングイベントを実施いたしました。大会時に繰り広げられるバドミントン、近代五種のフェンシング、車いすバスケットボールの熱戦への期待を膨らませるとともに、大会準備が着実に進んでいる手応えを感じたところであります。
同じく、大会に向けて整備が進む「有明アリーナ」については、管理運営に民間の力を最大限活用する「コンセッション方式」を都として初めて導入をし、大会後も、スポーツ・文化の一大拠点として長く愛されるレガシーとしてまいります。本定例会には、その実施方針の策定に向けました条例案を提案いたしております。将来的には、有明アリーナ周辺を「ARIAKE LEGACY AREA」として、民間のノウハウと創意工夫を活かして、新たな賑わいを創出していきたいと思います。
受動喫煙防止対策につきましては、9月に公表した「受動喫煙防止条例(仮称)」の基本的な考え方への意見募集に対し、約1万7千件のご意見をいただきました。引き続き、条例制定に向けて検討を重ねてまいります。
先の定例会では、都議会の皆様から、子供がいる室内や車内で喫煙しないことなどを努力義務として定める「子どもを受動喫煙から守る条例」が提案され、成立をいたしました。都といたしましても、多数の人が利用する施設を原則屋内禁煙とする条例の制定を目指すことで、議会と知事が切磋琢磨しながら政策を練り上げ、より良い東京を創り上げていく一つのモデルケースとしていきたいと存じます。
大会の成功と東京・日本のさらなる成長を目指し、6分野で13のプロジェクトを展開しております「ホストシティTokyoプロジェクト」を、引き続き力強く推進してまいります。
「魅力発信」の分野におきましては、「東京文化プログラム」の認知度向上や発信力強化を図る戦略的なプロモーションを、新たに進めてまいります。そして、2020年4月からの半年間は「Tokyo Tokyo FESTIVAL」と銘打って、集大成となるプログラムを集中的に展開することで、世界を大いに魅了したいと存じます。
来年2月からは、パリ市との文化交流事業である「パリ東京文化タンデム2018」を開催いたします。秋には、パリ市庁舎前におきまして「風呂敷」をテーマとしたアートイベントを行うなど、東京とパリの双方で、互いの芸術文化の魅力を発信する多彩な事業を実施してまいります。
また、来年は、「江戸」が「東京」となりまして150年の節目であり、これを好機として、「伝統」と「革新」が共存する東京の魅力をアピールしたいと存じます。象徴となるロゴマークを作成し、記念イベントをはじめ様々な取組を展開することで、都民と共に「東京150年」を祝い盛り上げ、東京の奥深い魅力を国内外に広く発信してまいります。
次に、市場の豊洲移転について申し上げます。移転時期につきましては、市場業者の皆様のご協力により、来年の10月中旬と決定いたしました。今後、業者の皆様のご理解を得て、できるだけ早期に具体的な移転期日を確定してまいりたいと思います。
豊洲市場の開場に向けましては、追加対策工事の実施と完了後の専門家会議による確認、農林水産大臣の認可手続きなど、一連の手続きを着実に進めてまいります。併せて、業者の皆様、都民の皆様に対する正確な情報提供を積み重ねて、しかるべき段階におきましては、私自ら安全・安心についての発信を行ってまいります。また、豊洲ならではの活気や賑わいの創出につきましては、千客万来施設の整備をはじめ、地元区や関係者とも知恵を出し合いながら積極的に取り組んでまいります。こうしたステップの先に、豊洲市場を、誰もが安心できる活気溢れる日本の中核市場へと育て上げ、新たな豊洲ブランドを確立したいと思います。
一方、築地の再開発につきましては、10月に検討会議を立ち上げ、これまで二度にわたり、築地を新たな魅力の発信拠点としていくための議論を進めてまいりました。経営、文化、まちづくりなど、幅広い分野でご活躍の委員の皆様に、引き続き自由な発想で検討を重ねていただき、来年5月を目途に、夢のある築地の実現に向けた「まちづくりの大きな視点」を取りまとめてまいります。
豊洲と築地、その両方を活かし相乗効果を図ることで、東京の新たな魅力の創出と発展に繋げてまいります。
「困難は厳正なる教師である」。イギリスの政治思想家、エドマンド・バークが説いた言葉のとおり、人口減少、超高齢化、それらをはじめ、東京を取り巻くかつてない困難は、これまでの都政の姿を大胆に変えていく必要性を示唆しているように思います。目の前の困難を直視し、危機感を持って、前例に囚われない改革と政策を力強く推し進める。その道のりは決して平坦ではありませんが、この「東京大改革」の先にこそ、東京の明るい未来は拓けるのであります。そうした想いの下、都議会の皆様と建設的な議論を積み重ねながら、都政を着実に前へと進めてまいります。まさに一心一意。都政に邁進する所存でございます。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いをいたします。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案32件、契約案11件など、合わせて70件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。
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